第31話
「これ、え……、え? ど、どういう……、ミラ、ミラクルが男、の人……え?」
まだ骨が折れた拳は痛いけれど、いまここでウサギ野郎を逃がせばまた俺と同じ被害者が生まれてしまう。幸い、株式会社トッテモワルインデスの総帥さんもやる気になってくれている。ここで、倒す!!
と、思っていたらのスノウさん、じゃないチビのこの対応にはさすがにイラっとする。
「いい加減にしろよ、チビ! 混乱するのは分からなくもないけど、いまはこのウサギ野郎を倒すことが先決だろうが!」
「そ、そうだよね……、そ、そうだよね? ていうか、そうかぁ……、ミラクルがメガネってことはスノウもチビなのかぁ……、はは……」
「デブも落ち込んでいる場合じゃねえだろ! 俺だって落ち込みたいわッ!」
二人はまだ魔法少女状態であり、魔法が使える。
それもウサギ野郎によって簡単に解除されてしまうのかもしれないが、それでも一瞬で良い。総帥さんの手助けさえ出来れば……ッ!
「ふむ……、ワシの助けをしてくれるということで良いのかね」
「ああ……! 全面的に協力させてもらう!」
「ありがたい、感謝しよう」
「待、ちなさいよ!!」
ああ、もう!
「まだ何かあるのかよ! ていうか、いい加減女言葉止めろよ、気持ち悪いぞ!」
「なッ!? あ、あんたに気持ち悪いなんて言われる筋合いないわよ! だいたい誰がチビよ! ワタシはそこまでチビじゃないわよ!!」
なに言ってんだ、こいつ……?
ああ、確かにチビはあれで自分の身長が低いことを気にしていたっけ。……それを今ここで言う必要はねえだろ……。
「あのぉ……」
よく分からない所でチビが怒鳴り出していると、まさにおずおずといった様子でスーパー怪人カイジンツクールが手を挙げた。
なんだよ、この忙しい時に! は、そういうことかッ!
「俺を怪人にしてくれるんだなッ!」
こいつの能力は一般人を怪人にする力だと言っていた。魔法少女にはもうなれないが、怪人になれれば俺だって戦力に!
「あ、いや、そうじゃなくて……」
「違うのかよ!!」
「ワタシが、いや、オレが……」
うん?
「チビなんですけど……」
「は?」
「え?」
スーパー怪人カイジンツクールが言い出した言葉に、俺とデブが固まっているその横で。
「ぬぅぅう!!」
「ぐひゃひゃッ! 無駄ぽよ! その程度でボクをどうにか出来るはずがないぽよ!!」
ウサギ野郎と総帥さんが物語クライマックス級の魔法バトルを繰り広げておりました。
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