第33話
「なんとか……するか」
「メガネ!?」
「まじかよ、お前……」
俺の発言にデブとチビが目を見開いた。男共に見られても嬉しくもなんともない。
「チビの能力で俺を怪人化出来ないか?」
俺が怪人になってどれだけの戦闘能力を誇るかは微妙だ。そもそも怪人って変な能力しか持ってなかったし。
でも、あれだけ圧倒的な戦力差がある戦いに介入するにはまっとうな戦闘力よりも変な能力で邪魔をするほうが良い気がする。ソースは色んな漫画。
デブの魔法で防御力を底上げして、スノウさんにジャミングを頼めば……、死ぬことはない、と良いな。幸い、今のところウサギ野郎は近距離物理魔法攻撃しかしていないようだし。自分で言ってて物理魔法ってなんだよ本当に。
「で、出来るのは出来るけど……、でも、怪人化は」
「もしかして副作用があるのかぃ?」
「ちょっとそれはさすがにやれって言いにくいんだけど……」
え、まじか。
いやでも悪の秘密結社の怪人化だもんな。そりゃ副作用はあるか。……もしも一生怪人として過ごすことになるとかだったら嫌なんだけど。
「いや、副作用はないんだけど」
ないんかい。
「じゃあ良いんじゃねえか」
渋るチビの様子に、いままでの流れからしてどうせくだらない理由だろうと結論付ける。悪いけど、そういうノリで何度欺されたことか。
「怪人になるとさ、あとで届くんだよ」
「何が」
不幸の手紙か。
「請求書が」
「なんでだよ!?」
「金額は八万円」
「しかも微妙に嫌な金額だな!!」
払えないわけではない、が払いたくはない金額だ。ちなみに払えなくはないは大人であったらの場合で勝手に想像しているが高校生の俺には無理だぞ。
「じゃなくて、なんだよその請求書って!」
「だって悪の秘密結社トッテモワルインデスだしな、うち」
なるほど、架空請求を送りつけて私腹を肥やそうという魂胆だな。って違うわッ!?
「な、なんて悪いんだ! 悪の秘密結社トッテモワルインデス!」
「まさしく名前通りの悪行ね……」
「そこ二人は雰囲気に飲まれてんじゃねぇ!!」
もうミラクルの姿じゃねえから突っ込む時は突っ込むぞ、俺は!!
スノウさんに至っては、ごくり、と唾呑み込んでんじゃねえよ! そんな大層な話でもなかっただろうが、今のは!!
「でも待って。その請求書が届くのはワタシ達全員になのかしら」
「いや? 怪人になったメガネにだけだよ」
「……」
「……」
「……」
「……」
「「「じゃあ、良いか」」」
「ぉいこらァァ!?」
なにいきなり全員自分に届かないし、不幸になるのは俺だけならまぁ、って結論に至ってんだよ! 友だちだよな!? 仲間だよな、俺ら!!
「世界のためなんだよ、メガネ!」
「そうだぞ、メガネ! 世界が滅びそうな時に小さなことでぐだぐだ言ってんじゃねえ!」
「男の子でしょ!」
「ならあとで八万は四人で分けるぞ」
「他の方法はないのかなぁ」
「そうね、彼一人に重荷を背負わせるわけにもいかないものね」
「難しい問題だ」
「ちょっと表出ろや、てめぇら」
すでに屋上なため、表に出ているとは言ってはいけないお約束である。
「怪人化は怪人になる人間の本能というか、性癖というか、他人に言えないひん曲がった恥ずかしい気持ちが土台になるらしいんだ」
「ああ、だからお前は高身長なイケメンになるわけだな」
「うっせぇな!!」
あと、さらりと怪人になることが決定しているようだけど、あとで八万円の処遇に関してはきっちり話付けるからな。
「だから、その、なんというか」
チビの姿がスーパー怪人カイジンツクールへと変わっていく。
ん? ちょっと待てよ、その話からすると、怪人になった俺はつまり。
「待ッ!」
「どんまい」
俺の制止なんか聞きもせずに、スーパー怪人カイジンツクールの怪人に変身させるよビームが俺を包み込んだ。
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