第6話


 二人と別れたあと、アタシも家へと向かう。

 今日の戦闘はなかなか良い連携だったんじゃないかな。ミラクルが加わった時はとても嬉しかったなぁ……。スノウは遠距離系でアタシはサポート系。どちらも直接戦うことは出来るけどやっぱり専門じゃない。

 その点彼女はすごい。

 まだまだちっちゃいのにガンガン前に出て戦う近距離系。年上として中学生の女の子に前衛を任せてしまうのは情けないけど。だからといって苦手なことをそれぞれが担当としてしまうなんて相手を喜ばせるだけなもんね。


 だからこそ出来ることをしないといけない。

 アタシはアタシが出来ることを。しっかりと二人を魔法でサポートして、敵の邪魔をして二人が戦いやすい環境を作っていくことがアタシに出来る最大限だと思う。


 それはきっとスノウも思っているんじゃないかな。

 あまり感情を表に出さないけど、彼女もしっかりミラクルのことを認めているみたいだし、彼女なりに気に掛けているみたい。

 やっぱり妹みたいで可愛いからかな?


 ……そうだ。

 ミラクルはとっても。それはもうとっても可愛い。


 戦闘バランスとかそういうのどうでも良いくらいにとっても可愛い。あんな可愛い子が仲間になってくれたなんてとっても嬉しい。

 勿論スノウも可愛いけど、スノウはどっちかと言えば美人さんかな?


 駄目だとは分かっているんだけど、ちゃんと我慢しなきゃと思っているんだけど。

 でも。

 でも。


「あれだけ可愛いと抱きしめちゃうよぉぉぉ!!」


 暗い夜空を飛んでいるのなんて蝙蝠くらいなものだろうし。アタシは思いっきり叫んでしまう。


「ああ……、もう抱きしめた時のふわふわが……! もうめっちゃくちゃ良い匂いするし……! 駄目だよねぇ、苦しそうだったし抱きしめるにしてももっと優しくしないと……、ていうか」


 ていうか。

 ていうか!!


が抱きしめちゃ犯罪だよねぇぇ!!」


 着地と同時に魔法が消える。

 シンデレラのように、いやあれはシンデレラ自体は元々美しかったから違うか。でもそんな風に僕にかかっていた魔法が消える。

 きらきらしてふわふわした衣装を身に着けていた美少女のアタシから、誰も見向きもしないようなモブっぽいデブな僕へと変わってしまう。


 これが僕の秘密。

 仲間である二人にも黙っている僕の最大の秘密。


 キューティーシャインの正体は、クラスでも最下層に居てデブなんてあだ名を付けられているモブキャラだ。

 そんなこと、二人に言えるはずがない。というか言ってしまえば最後。僕は女になって女の子に抱きつく変態野郎だ。


 絶対に。

 バレるわけにはいかない……!!

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