第25話
「スーパー怪人ですって!」
「いきなり幹部クラスというわけね」
くっそだっせぇ名称はともかく、スーパーが付いているんだから特別なんだろう。何が特別とか意味分かんないけど。それよりもその前の肩書きのほうが気になったのは私だけか? 私だけか……。
なんだよ、営業部主任って。部があるのかよ、あるか。株式会社だもんな。
「駄目だぽよ!」
戦闘態勢に入ろうとする二人をウサギ野郎が強く止める。なんだ?
「ど、どうして!?」
「ここは敵のアジトなのよ、悠長なことを」
「物事には段取りがあるんだぽよ」
そう言って、ウサギ野郎は右胸にあるポッケから。いや、待て。ウサギだぞ? 毛だぞ? ポッケなんかねえよ。どこにあったんだよ急に現れたぞ、なんだよ今のぽっけ。
「チーカマと申しますぽよ」
「これはこれはご丁寧に」
スーパー怪人カイジンツクールと名刺交換を開始した。
もう帰って良いかな。
「はぁ! 英検一級をお持ちとは、さすがですね」
「いやいや、昔アメリカに住んでいたことがあるだけでちょっとズルみたいなもんですぽよ」
「いやいや、住んでいても取るのは簡単ではないと聞きますよ。ワタシなぞは英語がどうも苦手なもので」
「英語は慣れですからぽよねえ」
「海外に行けば、とも言われるのですが」
「時間が難しいぽよですね」
「そうなんですよぉ!」
はっはっは!
と、ウサギとイケメンが顔を合わせて爽やかに笑い合う。なんだこれ。
「それでは……」
「そうですぽよな」
うん?
いきなりウサギ野郎が爽やかに私たちの後ろに……。
「よくぞここが分かったな、魔法少女たちよ!!」
ええぇえええええ!! ここから!? ここから始めるの!?
無理だろ! もう何をどうやっても取り返しが付かない空気じゃん! 無理じゃん! 駄目だって! そんな、肉じゃが作るときに失敗したらカレーにしなさいとかじゃないんだよ! これもプリン作っているときにカレー粉入れろとか言われているもんだろ! リカバリー出来るわけねえよ馬鹿野郎!!
「お前達の悪行もここまでだぽよ!」
出来ねえって言っているだろうが!!
そもそもお前は普段戦わないどころか戦闘の場にもいないじゃねえか! 何格好良いところだけ取ってんだよ!!
「え、えとえと……」
ホラ見ろ、私たちの中で一番乗りが良いシャインさんですらおろおろしているじゃねえか! そうだよ、こうなるよ! こうなるに決まってんだろうが!!
「その通り。ワタシこそが人間共を怪人へと創りかえてきた張本人だ」
何も言ってねえよ。
「なんですって……!」
あ、珍しい。
スノウさんがシャインさんより先に乗り越えている。
「ワタシを今までの怪人と一緒と思わないことだ。なにせ、ワタシはスーパーだからな。スーパーはスーパーでスーパーなんだよ」
こいつ、頭悪いんだろうなぁ
「確かにスーパーだもんね……!」
シャインさんは可愛いなぁ
「無理矢理怪人となったモノと違いワタシは自ら臨んでこの力を手に入れた! その違いがこの強さの違いなのさ!」
この、と言われてもまだ何も見ていないのですが。
見たのは名刺交換したのと、あんたが英語弱いって笑っているところだけなんだけど。
「つまり貴方を倒せばこの街で起こっている事件はなくなるということね!」
「多分そうだ!」
多分。
こいつ今、多分って言ったぞ。絶対あんまりえらくないんだよ、こいつ。主任とか言われているけど肩書きだけであって、責任は増えたのに給料も権限も増えてないみたいなやつだよ。
「じゃあ話は早いわね。シャイン! ミラクル!」
「ええ!!」
「は、はい……」
「ふはは! たった三人がかりで……、三人がかりはちょっと多いな。でもいいか。その程度でこのワタシに勝てるかな。ふおぉおおお!!」
「きゃぁ!?」
「わわわっ」
「っ!?」
な、なんだ!? 急にあいつが居るほうがから風がッ! 漫画とかでよくある強者演出みたいなエフェクトがかかっているっ! あの、ほら、身体から変なオーラみたいなのが沸き立つ感じのやつ!
こ、これがスーパー怪人だというのか!!
「ふぉおおおお!! あ、もう良いですよ」
後ろで扇風機を回していた女性社員が帰っていった。
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