第28話
「ど、どうしてここが分かったぽよ!」
どうしても何も……。
「ワシの会社の屋上だからだ」
だよな……。それ以外の説明が私には思いつかないよ。
「しまったァァ! ぽよ」
うるっせよぉ、ウサギ野郎!!
あと付け加えるように言うだけならもうその語尾言うな、腹立つから!!
「しゃ、社長……ッ」
「うむ。実にひどい恰好だが大丈夫か。アルバイトくん」
社長って言った。
もう怪人から社長って言われているよ、さっき自分で総帥とか言われて、ちょっと待て。
「あの、質問宜しいでしょうか」
「君は……、ミラクルくんだね。良かろう、冥途の土産にするとよい」
「ミラクルは殺させないわよッ!」
ちょっと待ってシャインさん。抱きしめてくれるのは嬉しいけれど、いまはそうじゃない。そこよりももっと大事なことがある。
「そこの人……、なんですけど」
「ああ」
「バイトなんですか?」
「そうだが?」
「そうですか……」
もう、良いかな。
バイトが主任ってなんだよ。とかも……違うか。なんか、色々ぶっ飛び過ぎてて何をどこから突っ込めば良いか分からなくなってきた。
「なんだか、疲れました……」
「ミラクル!? どうしたの、ミラクルっ!! もしかして、精神攻撃を!! く、なんてことを!!」
「しっかり、ミラクルっ!」
「君が負けたら世界が終わるぽよー」
もう良いよ……。
なんかこいつらに付き合っている自分が馬鹿げてきた。なんか彼らに世界征服とか出来るはずがないし、出来たらとしたらそれはそれで世界のほうが屑だったわけだからきっと世界が平和になるよ。もうそれで良いよ、それで良いじゃねえか。
「うぅん……、これは重症ぽよな」
うん? なんだよ、ウサギ野郎。
今更なにを言われようが私の折れてしまった心がミラクルさを出すことは。
「使えない駒は消しておくかぽよ」
おおっと!? やばい!? 話がヤバイ方向に進み出している気がする!
何がヤバイって悪の組織の総帥よりこのウサギのほうがヤバイってことだ!
「う、うそだよ! もう大丈夫だか」
「変身解除ぽよー」
ら。
最後の一文字を言うことも出来ずに、ウサギ野郎が手を叩くと。
「へ?」
「え?」
「ほあ?」
「なんと惨い」
シャインさんの腕のなかで私は俺に戻ってしまった。
ちなみに、最後の言葉は順番に、シャインさん、スノウさん、カイジンツクール、総帥である。
な? 総帥のほうがまともそうだろう?
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