第15話

 巨大な胴体と太い尾を持つ蛇頭の魔物の背に闇を纏った剣が二本刺さる。


「グォガアアァ!!!!」

「ウルセエよ。」


 二本の剣を持った少年、闇の勇者クロトは魔物首を落とす。

 魔物の巨大な身体が力無く倒れる。


「今の奴は少し頑丈だったな。」


 今の(仮称)オロチ戦を振り返る。


 現在の階層は地下六階、日数にして(日の動きなど分かる由も無く寝た回数だが)三日、魔物がこれまでは正に鎧袖一触、剣を振れば倒せていたようなものだったが、今のオロチは背中の中央を刺しても死ななかった。

 これからは攻略のペースも落ちるだろう。


「焦らず着実に、ってな。お、下り階段発見。」


 無機質な石造りの階段は今まで通りだったが、階段の入口の辺りから明らかに色が変わっていた。


 焙ったさっきのオロチの肉を咀嚼しボトルの水で一口に呑み込む。


「よし、行くか。」



 階段を降りた先は今までの遺跡然としたかんじの建物から工場や研究所らしい雑多だが整頓され、無機質だが生きている様な部屋になった。


 心無しか肌が、毛先がピリつく。


「なんだ、機械か魔法人形ゴーレムでも出てきそうな雰囲気だな。」


 案の定金属が軋む音を鳴らして暗黒色のゴーレムが出てきた。


「スクラップにしてやる。」


 闇を纏った鉄の剣を振る。が、その刀身は半ばから折れた。


「げっ。」


 ゴーレムが固く重い腕で殴りかかる。

 俺はそれを軽く後に跳んで躱す。


 ただの鉄の剣とはいえ貴重な攻撃手段が一つ減ってしまった。あまりそうとは思わないが、侵黒の聖剣も折れるかもしれない。


「まあイイか!!臆したら負けだ!!」


 俺は侵黒の聖剣に思いっ切りの力を込める。

 すると闇は先程までの数倍溢れ出す。


「大事なのはノリと勇気!!それから、ガッツだ!!『ダアアアックゥ・スラアアアッッシュ』!!!!」


 溢れ出す闇を斬撃に乗せて打ち出す。

 刀身が触れなければ折れる心配は無い。


「......なんつって、キャラじゃねーよ。」


 真っ黒なゴーレムは袈裟斬りにされて崩れる。

 すると崩れた残骸から大きな直方体の箱が出てきた。


「なんじゃこりゃ。何でゴーレムからこんなモンが......まあドロップ品ってことでいっか。」


 箱を開けると侵黒の聖剣と同じ漆黒の刀身を持ち、それよりもやや肉厚な直剣が入っていた。


「へぇ...少々出来すぎてる気もするが丁度いい。」


 漆黒の直剣を腰に刺して再び奥へと進む。

 少し行って入った小部屋にさっきより一回り小振りなゴーレムが集団を作って待ち構えていた。小型な分少し身軽な様だ。


「関係無いけどな!攻略法も分かったし、試し斬りには丁度イイ!!」

 両手の剣に闇の力を纏わせる。


「喰らえ!!」

 最初に近い方の二体を右と左でそれぞれ叩き切る。


「もいっちょ!!」

 流れるようにそのまま次の二体を切り倒す。


 系四体のゴーレムはバラバラに解体された。


「この剣、気に入った。鉄の剣より数段マシだ。」


 ゴーレムの残骸から無事で使えそうな心臓コアを拾ってカバンに突っ込む。



 三つ四つ、似たような部屋が続いた。


 そして、暫くしたところ左右二つの小さな扉があり、道が別れていた。


「こういうのは運で決める物だな。」

 そこら辺の手摺りを一本折って地面に立てる。

 棒は真っ直ぐ前へ倒れた。


「......もう一回!」

 今度は右斜め前へ倒れた。


「よし、右の部屋だな。」


 右の扉を開けると、そこは明らかに他と違う、遺跡と言うよりももっと未来にタイムスリップしたかの様な研究所といった感じの部屋だった。


「...ッ、こんな所に女の子!?」


 部屋の中央には無数の機械に繋がれた幼い少女が眠っていた。




 TO BE CONTINUED EP2............

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