第28話
ーー 辺獄の地下迷宮 地下七階 ーー
「そう言えばその服とかどっから出したんだ?」
「
「ふーん、便利な物だな。」
そこにヘヴィゴーレムが六体の群れで現れた。
「丁度いい相手だな。右の三体ををやる。フィリア、左の三体をやれ。」
「了解。」
身体の関節のあちらこちらから駆動音や摩擦音を鳴らしながらヘヴィゴーレム達は狭い通路を走る。
俺は右の黒剣を一体の頸部に、左の聖剣を二体の腰部に貫通させる。
一方のフィリアはと言うと......
「《フリューレイ・ラピッドーⅠ・ーⅡ》、展開します。」
フィリアは二丁の逆三角形に近い形状の拳銃を両手に持つ。
「対象:ヘヴィゴーレム三機、排除を開始します。」
拳銃、フリューレイ・ラピッドはその銃口から紅い光球を、風に舞った砂漠の砂の如く、恐ろしい速さでばら撒いていく。
三機居たヘヴィゴーレムは紅い光球の嵐に当てられ、止むころには一片までもが吹き飛ばされていた。後には溶けて飛び散り再び固まった金属しか残らない。
「規定プロセスを完了。フリューレイ・ラピッド、収納......完了。」
「すげー武器持ってんのな。」
「光弾を発射する銃、《フリューレイシリーズ》はあらゆる戦闘に対処する為数も多く存在します。中でも今のラピッドⅠ/Ⅱは威力、連射に優れ取り回しも良く主に閉所、接近戦で効力を発揮します。」
「やっぱり俺らの聖剣とは原理が違うものか?」
「はい。聖剣・魔剣の類は機能としては魔法発動補助の杖に近く魔法発動を触媒するのに対し、
そんな感じで言葉を交わしながら時折現れるゴーレムを倒しながら地下八階への階段へとたどり着く。
「大丈夫か?七階から出れない制限とかはあるのか?」
「ありません。余りに迷宮内に魔物が溜まり過ぎて起きる大逆流の例から分かるように
「なら良い。行くぞ!」
ーー 辺獄の迷宮 地下八階 ーー
「余り風景は変わらないが......何だこれ?いきなり中央に宝箱?」
地下八階の最初の部屋は中央に金色の装飾が施された箱が中央に置かれている以外何も無い広間だった。
「とりあえず開けてみるか.........って何だこれ開かねぇ。」
宝箱をあちらこちらから弄くり回す。
そこに丁度フィリアが宝箱の広間に入って来た。
「マスター?何をして...その箱は!!マスター罠です!!その箱から早く離れてください!!」
「え?」
宝箱の周りから黒に近い紫の霧が吹き出る。その霧は瞬く間に俺を包んでいく。霧は三分程の残留の後直ぐに薄れた。
「大丈夫ですか!?マスター!!」
「ああ、なんともない。何だったんだアレ。」
「あの箱は《ミミックゴーレム》の疑似餌です。無性に開けたくなる箱を地上に残し自身は地中に潜って開けようとした討伐者に闇属性の猛毒の霧を浴びせて殺す魔物です......ああ、そう言えばマスターは闇の勇者でしたね。無事な筈です。」
自身の毒を浴びてもピンピンしている俺を見てミミックゴーレムは物理的に潰そうと起き上がる。
「デカイな。まさかあの一帯の床全部ゴーレムだったなんてな。」
「丈夫なあの巨体はそれだけでも脅威です。マスターご注意を。」
ミミックゴーレムは俺の身体よりも更に大きい腕を叩きつけようとする。
「必要無い!!吹っ飛び、やがれえぇ!!!!」
俺は
「マスターは無茶苦茶です。」
闇の魔力の奔流はミミックゴーレムの腕を這い上がり本体まで届く。上半身が片腕だけ残して抉られ活動を停止する。
ミミックゴーレムが抜けてガランと空いた空洞の底に次の部屋への入口が見える。
「さ、呆けてないで次に行こうぜ。」
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