第6話
それぞれの前に聖剣が突き刺さっている。自分達はそれぞれ、目の前の剣に手を伸ばす。
床に刺さっている割には、意外とあっさり抜けて、そこまでの重みは感じさせない。
「何だ!?」
突然刀身に厚めの氷が張り出したかと思えば、氷はみるみる形を変え、色付き、鞘となった。
他の五人の剣にもそれぞれ鞘ができたらしい。
「おめでとうございます!無事聖剣を獲られましたね。アツシ様、貴方は
「へへっ。カッケーじゃんかよ。」
アツシは火の勇者、イメージピッタリである。
「ユキヤ様、貴方は
「まぁ、そんな所かな......ハア。」
雪山で転落して凍死した自分が氷の勇者とは、皮肉が効いている。
「イナホ様は
「ところで、フレイアさんさっきからテンションおかしくないですか?」
イナホは雷の勇者、ちなみにテンションは突っ込んだら負けだと自分は思っていた。
「イクコちゃん様は
「.........。」
イクコは緑の勇者、しかし先程からイライラしっぱなしである。
フレイアの表情が急に真面目な物になった。
「コウイチ様おめでとうございます、貴方は
貴族達は歓喜に声を高める。
「勇者筆頭......俺が?」
「はい。光の勇者はその力は他の勇者様より少し高い物となっています。」
コウイチは光の勇者、それは納得だが勇者によって力の程が違うのか。
「じゃ、じゃあ俺のこの黒い聖剣は何の聖剣なんですか!?」
クロトは鼻息荒く興奮して訊ねる。
「クロト様、貴方は天照の聖剣と同等の出力を誇る
クロトの表情は一瞬固まり、悔しさを分かりやすくその平凡な顔に浮かべた。
「闇の勇者?なんだよそれ!!魔王の仲間みたいじゃないか!!」
闇の勇者、それを聞いて余りいいモノとは聞こえない。
フレイアは気まずそうに、そして、何処か悲しそうに告げた。
ストラクス王とジゼルと、数少ない者は悲しそうな表情を、多くの貴族はざわめきながら忌避の色を見せた。
「勇者達よ今日は休むといい。頭も詰まってきた頃だろう。貴賓室を貸そう。解散である。」
貴族の重鎮たちは互いにあーだこーだと言い合いながら、王城を後にした。
闇の勇者となったクロトは立ったまま、
後でフレイアやジゼルに話を聞かせて貰おう。
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