ANOTHER SIDE:クロト EP1
第13話
高校二年の冬、大寒波による大雪、路面凍結などで東京はかなりパニック状態だった。
そんな中、俺こと
しかし、気付いたら俺は異世界の王国、ククリアへと勇者として召喚されていた。ラノベやマンガみたいな展開に期待していたんだ。歓喜していたんだ。
だけど蓋を開けてみたらどうだ。
勇者は六人、これは全然問題じゃない。寧ろ気の置ける仲間が居て嬉しい位だ。
問題はこの後。
俺は闇の勇者となってしまった。俺の理想に描いた俺の異世界勇者物語はこの時点で大きなヒビを抱えてしまった。
そしてその次の日、俺は王国を追い出された。
放り出されたその先は、地獄、否、『辺獄の地下迷宮』だった。
そして今に至る。
俺は忘れない。あのクソみたいな玉座にふんぞり返った国王、ストリクスへの復讐心を。
ーー勇者召喚の二日後、『辺獄の地下迷宮』地下一階ーー
「クソ、クソ、クソぉ!!!!」
この辺獄の地下迷宮は封印指定ダンジョンらしい。封印指定ダンジョンは、定期的な
最下層、地下三十七階層が最下層となっていて、そこに地上への
「と、と、ととりあえず、先に進まなきゃな。」
赤紫色の光り方が炎のように決して定まらない水晶が恐怖を更に煽る。
竦んで動けなくなりそうな脚をなんとか立たせて歩き出す。
「大丈夫、俺は勇者なんだ。俺は
「大丈夫」と口にしているとなんか足が軽くなった気がした。怖く無くなった気がした。
「大丈夫、行ける!今の俺は成り上がりを見せた主人公達と同じなんだ!あ、そうか!これは成り上がりモノなんだ!」
自信が出てきた。やれる。俺ならやれる!!
靄のかかった道のちょっと先に
アイツを倒して、俺は、強くなるんだ!!
「グルル......ヴル...」
「あ。」
さあ、剣を構えろ!!これは栄光の道への第一歩なんだ!!相手は高々大きめな犬一匹なんだぞ!!
どうして、脚が前に進まない!?
「ああああああっ!!!!」
腹の底から出した精一杯の掛け声で恐怖と緊張を振り払うと俺は、一目散に後ろへ走り出した。
「ヴァウ!!バウ!!」
犬の鳴き声がしたので後ろを一瞬振り返ると、あの魔物が追って来るではないか!!
「うわああああ!!!!!!」
俺は身体ごと振り返って鉄の剣を腰から抜き、魔物に向かって突き出す。
そのザマは酷い、とても剣術等のは呼べない突きだった。しかし結果は犬の魔物が噛み付こうとしていたのか跳んで大きく開いた口に真っ直ぐ刺さっていた。これでは即死だろう。
「た、倒した。」
初の魔物戦に勝利し、目先の脅威は去った。
けど、どうして、まだ震えているんだ!?
どうして、まだ恐怖に雁字搦めにされているんだ!?
「ううぅぅ......どうして、こうなったんだよぉ。」
俺の、大して信じてもいない、運命を恨んだ。
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