第20話
ーー 翌朝、王属騎士詰所 ーー
「今日、勇者の皆様方には初めての魔物討伐をして貰います。」
ジゼルは続ける。
「倒して頂くのは先程
「ちょっと待って下さい!!つまり殆どの魔物って日の下に出られないってことですか!?」
「ええそうですが......ってアイラから聞いていませんか?」
「はい。聞いてませんが......」
「あ、アイツぅ......ンン。まあ良いでしょう、私から説明します。」
「基本、魔族と魔物は日光の下では生きられません。人間や普通の動物は魔界の雲の下では生きられません。ただし例外もあります。魔界側の例外はこちら側の生物に近い種と魔王、人間側の例外は勇者。因みにどちらにも属さずどちらでも生きれる生物の代表例として
「だから魔族は攻めて来ないのか。」
「魔王当人が一々こちらに来るメリットも有りませんしね。」
ーー 王都ククリア正門前広場 ーー
「これからキバイノシシの被害を受けた場所、《ノニ山中村》に依頼者であるコンコさんの馬車で向かいます。」
「勇者の皆様に来て頂けてとても幸運です。よろしくお願いします!!」
農民の青年、コンコが礼をする。
「キバイノシシはその名の通り巨大で鋭く発達した牙が特徴の大猪です。最近私達の村に出没し畑の作物と貯蔵庫の食料を食い漁っていったんです。どうか私たちの村を助けて下さい!!」
「任せてくれ!!」
「仕事はしっかりしますから!!」
「初の魔物討伐には俺、フロロが同行しますのでヨロシク。」
ーー 道中 ーー
「ところで昨日ユキヤとチビっ娘の所に大量の箱が届いてたのアレなんだ?」
アツシが尋ねる。
「アレ全部服なんだよね。服を買いに行ったら大量に貰っちゃって。」
「ふーん、そのリボンもそういう事か。」
「り、リボン......せめて結い紐とか言ってよ。」
「ま、何でもいいけど。チビっ娘のヘアピンも初めて見たな。」
「.........」
「あ、アツシ......そろそろ学んだ方が良いよ。」
「おい猿、貴方ちょっと馬に並んで馬車引いてきなさい。」
「あ、ちょ、おま落ちる落ちる!!」
道中は笑いに満ちていた。
ーー ノニ山中村 ーー
「着きました。ここが私達の村、《ノニ山中村》です。実際名前は無いのですがノニ山の中間部にあるのでそう呼ばれています。」
ノニ山中村は山の傾斜が小さい所を切り開いて作られた小さな村で、建物は五、六軒程しかない。しかし木々に囲まれているので風も殆どなく畑の広がる長閑な所という印象を受ける。
その中に一軒、大きな穴の空いた小屋があった。
「ここが漁られた食料庫です。」
「なんてデカい穴だ。上に二メートルはある。」
壁に大きな穴の空いた食料庫の中には勿論殆ど食べ物は無い。
「今は山に入って狩猟と採取でなんとかもっていますがキバイノシシがいます。直にそちらも尽きるでしょう。お願いします勇者様!!必ずキバイノシシを退治して下さい!!」
こうして自分達五人の初めての
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