第34話
ーー ストリクス王の告白から三日 依頼斡旋所 ーー
自分は王都ククリアの西門近く、依頼斡旋所へと来ていた。
アツシが、『冒険者ギルドみたいなものか!?異世界の定番だよな!!荒々しい先輩冒険者が居て、でっかい酒場があって〜』等と大はしゃぎしていたが、そんなイメージとは反対にスッキリとして清潔感があり、そこまで広くなく依頼を貼り付ける掲示板と職員が座る窓口が二〜三個開いてたり閉まっていたりと、精々小さな郵便局位である。
「さてどんな依頼があるのかな。」
ーー 二日前 訓練終了後 ーー
「明日、基本的な訓練の全過程を終了します。」
その日の訓練が終わって汗を拭いている自分達にジゼルが言った。
「差し当って明後日からは、独自に依頼を受けて来て頂きます。内容、人数などはお任せします。一人で行くも良し、勇者様方でチームを組むも良し、一般の
「依頼斡旋所!?冒険者ギルドみたい〜」
ーーーー
という経緯で今に至る。
さてさて、掲示板には.........
(今あるのは...えと『トビハネウサギの肉の納入』、『センノウタンポポの種子の採取』なにそれ怖い。『畑に落ちた火竜の卵の除去』誰が受けるんだろう?『村の井戸に住み着いたスライム(詳細不明)の討伐』......ちょっと様子を見ようか。『(面接有り)王都ククリアの観光ガイド』って、最早僕達が観光スポットの様なものだしなぁ。やっぱりトビハネウサギかな。)
掲示板に貼り付けられ依頼の紙に手を掛ける。
「「これに決めた!!」」
同時に紙を剥がしたその主は.........
と言うか、カルタや神経衰弱の様に憶えたその紙は!!
「よーう!ユキヤじゃねーか。依頼斡旋所って、思ったよりショボイんだな。ちょっとガッカリだったわ。」
「アツシ!?君が依頼斡旋所にどんな期待をしていたかはさて置き、その依頼って.........」
「これか?我ながら良い見つけもんしたと思うぜ!なんとだ、なんと.........」
手に持った張り紙をこちらに向け.........
「『ドラゴンの卵の除去』。」
「バカああぁ!!!!戻して来なさい!!!!」
ソコに何があってアツシが何を取ったかも分かっていた筈なのに、堂々と見せ付けられ驚いてしまった。
「悪い事は言わないから戻してきて!!ほら僕の取ったトビハネウサギの狩猟一緒にやろう、ね!?」
「なんでダメなんだよ。所詮卵の移動だけだろう?」
「そんな簡単な話だったらここに貼ってないから!!農家さんもさっさとどかしてるから!!報酬金二十万ウィットなんて額ついて無いから!!」
「わ、分かった、分かったから。チェ......良い仕事だと思ったのに。」
アツシは渋々とぼとぼと依頼の貼り紙を戻しに行った。まったく.........
自分は貼り紙を持って窓口まで行き、職員の女性に向かって貼り紙を出す。
「この依頼をふた......」
「これも含めて三人で。」
「イクコちゃん!?」
「はい。『トビハネウサギの肉の納入』と『センノウタンポポの種子の採取』ですね、宜しかったですか?」
いつの間にか横に居たイクコにさらりと別の依頼と人数を足された。
「ちょっと!!三人で依頼を受けるのは全然良いんだけどその依頼、危険そうだから外したモノなんだけど!?」
「大丈夫よ、私はどこぞの馬鹿と違って下調べした上で作戦をある程度練ってから行動するもの。いいでしょ?」
「そこまで言うんだったら.........」
「決まりね。では、お願いするわ。」
「はい!ユキヤ様、イクコ様、アツシ様の三人で『トビハネウサギの肉の納入』、『センノウタンポポの種子の採取』承りました。無事達成される事をお祈りしています!」
「じゃあ早速行こうか。」
「ユキヤ〜張り紙戻して来たぞーってチビッ娘!?なんでお前がここに、いったぁ!!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます