六勇者物語
四々十六
六勇者召喚
第1話
高校二年の一月中頃、
先日は例年を遥かに超える豪雪の為、高速道路が規制され二日ばかり予定の延期を受けたが無事開催され、快晴の空と、厚く積もった新雪は寧ろ幸運だっただろう。
しかし彼は不幸であった。軽く流して滑っていただけなのに、偶すれ違ったある同級生を避けたところ、足を踏み外して崖から転落してしまったのである。
そして間も無く十七となる雪郷幸也は二十五分の一と、なってしまった。
(人間五十年と言うけれど、あぁなんと早い物なのだろうか。)
幸也の最後の
目が覚めた。
身体の感覚は指先まで感じられる。仰向けで背は冷たかったが、それは大理石の床だ。天井はあり、雪、風もない。よく見ると......
「どこなんだ?ここは、」
「教会のような城のような...」
「これが噂の...」
「...ファンタジー.........」
「綺麗...」
「..........」
周りの風景に気を取らて気づかなかったが、少年が三人、少女が二人いた。
それは兎にも角にも自分はあの時死んだ筈だ。ならばここはあの世という所か、それにしてはといった感覚で。
「何が一体.........!!」
勢いよく木の扉が開かれた。
「よく来てくれた、勇者達よ!!ククリア王国へようこそ!!歓迎する。」
白髪に装飾の施された金の冠を乗せ、赤いローブを羽織った男が幾人かの鎧を着た兵士を連れ、入って来た。老人はその身形から、一国の王、或いはそれに近しい身分と判る。
だが問題はそこでは無い位の高そうな老人は、勇者達、と言った。状況から既に、自分達、若しくはこの内の誰かがそうなのであろう。
「勇者?それは僕達のことですか?」
亜麻色の髪の柔和そうな雰囲気の少年は言った。
「ああ、そうだ!!君達こそは神に選ばれ、我らが召喚せし者。伝説の六勇者に相違ない。」
「六勇者.........勇者!?俺がっ!?」
何処か腕白さを感じさせる逆立った黒混じりの茶毛の少年は興奮気味に驚いた。今の自分達を作品の登場人物と重ねているのだろうか。
「そうとも。そして、君達六人に願うのは、魔界に君臨せし魔王を討伐して欲しいのだ!!」
勇者、そして魔王。自分は人並みにアニメやゲームなどの大衆娯楽嗜んでいた為、何となく想像はできる。恐らく他の五人も同じ時代から来たと考えるならばわかるだろう。
それぞれの反応は様々。
亜麻色の髪の少年は驚愕し固まり、逆毛の少年は目を輝かせ、黒髪の温厚そうで(少し失礼ではあるが、)平凡そうな印象を抱かせる少年は驚きながら小声で呟き、長い濡れ羽色をポニーテールに纏めた少女は微かに恐怖を匂わせ、小柄な少女は........(前髪で隠れ、そも表情が薄いため)感情を読み取り辛い。
斯く言う自分は、恐怖と好奇心が五分五分ほどであろうか。
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