【川柳】ポケモンが大のおとなをつかまへる

日傘畳んで入るや香の店

前髪に涼集むるや遠花火

墨すりて絵にかかばよき菫かな

そぼ濡れて人彳めり春の雨

【無季】りんご飴喰ふや真つ赤な口あいて

陽炎やその坂道の名は知らず

めし喰つてごろごろするや五月雨

北御堂南御堂や花曇り

うまさうに水飲むはとや花曇り

蝉死して即ち破れぬ雲の城

道ばたに草花あへぐ暑さかな

夕立ちや七尾のきつね子をはらむ

夕顔やあるじなき家の夕明かり

草むらに雉かくれけり暮の春

コンビニに強盗出づる夜寒かな

夜寒さや零時を告げる鳩時計

悪しき香のしばし去らざる暑さかな

くたびれて帰る家路の暑さかな

月の宮に帰れど秋の夜は長し

鶴の吐く息ほの白し霜の声

夜話の絶えて夜長のさかりかな

かはほりや百物語する夜更け

シヤンプーを替へもこそすれ風かほる

名月や十五でよめにゆきし人

肉体のおとろへ見えて秋のかぜ

立つ秋のつれなく見ゆる海辺かな

陰となりひなたとなるや蝉の声

蛾となりて墓場をめぐる夜長かな

春風や風車回りてひもすがら

芭蕉忌や静まりかへる池の水

踊らせておのれは涼し今紀文

語りつつ過ぐるふたりや秋灯し

冷房や浮世の風にふかれ顔

雲をもる日ざしもうたた秋づきぬ

世にありて息をするにも暑さかな

雲は行き石はとどまる花野かな

さるすべり咲くやくれなゐ白その他

ふるさとや今年もまめで帰り花

おもしろく秋の風ふく団地かな

夢破れてもどるゐなかや山わらふ

ふるさとの風におよぐや鯉のぼり

身にしむや職を辞し去るその夕べ

観覧車まはれどたかし秋の空

天高く野は牛糞のにほひかな

去年よりも数まさるべし曼珠沙華

俳諧の神も留守なり小六月

花はさくら酒は伏見の大吟醸

夢の世に色あらばこの紫苑かな

身にしむや切磋琢磨と聞くときは