月の宮に帰れど秋の夜は長し

【読み】

 つきのみやにかへれどあきのよはながし


【季語】

 月・夜長し(三秋)


【大意】

 はるばる地上から月の宮殿に帰還したはよいが、秋の夜は長く、未だに明けないことである。


【附記】

『竹取物語』に取材した。


【例歌】

 秋風はやや肌寒くなりにけりひとりやねなむながきこの夜を 源実朝


【例句】

 馬に残夢ざんむ月遠し茶のけぶり 芭蕉

 月天心てんしん貧しき町を通りけり 蕪村

 廻廊の柱の影や海の月 夏目漱石

 暁や夢のこなたに淡き月 同

 月の根岸闇の谷中や別れ道 正岡子規

 月白し洞雲院とううんゐんの屋根瓦 藤野古白


 長き夜や目覚むるたびに我老いぬ 樗良ちょら

 長き夜をさまざまおもひあかしけり 同

 稚子をさなごのともしけしたる夜長哉 士川しせん

 長き夜や心の鬼が身を責める 一茶

 小大工が飯喰ふ秋の夜長かな 内藤鳴雪

 長き夜を唯蝋燭の流れけり 夏目漱石

 カンテラに新酒をあぶる夜長哉 寺田寅彦

 山賊の煙草くゆらす夜長かな 同

 火事の夢さめて火事ある夜長哉 尾崎放哉

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