雲は行き石はとどまる花野かな

【読み】

 くもはゆきいしはとどまるはなのかな


【季語】

 花野(三秋)


【大意】

 雲はながれ行き、石はそこにとどまる、秋の花咲く野辺である。


【附記】

 上五と中七が対句のようになっている。


【例句】

 面白く富士に筋違すぢかふ花のかな 嵐雪らんせつ

 から風に片頬さむき花野かな 許六きょりく

 山伏の火をきりこぼす花野哉 野坡やば

 馬からは落ちねど一夜花野かな 支考しこう

 追剥おひはぎ行衛ゆくゑも知らぬ花野かな 同

 松明消て海すこし見ゆる花野哉 蕪村

 追剥に夜はふりかはる花野哉 蓼太りょうた

 四方から日の暮れかかる花野かな 寥松りょうしょう

 吹き消したやうに日暮るる花野かな 一茶

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