陰となりひなたとなるや蝉の声

【読み】

 かげとなりひなたとなるやせみのこゑ


【季語】

 蝉の声(晩夏)


【大意】

 陰となりひなたとなりながら蝉の声がひびきわたるのであった。


【附記】

 ここで表現されているものがあるとすればそれは時間だろう。光と陰、すなわち一昼夜と、羽化してから1週間の命とされる蝉の寿命が取り合わされている。もっとも、検索エンジンで調べると蝉の真の寿命は約1ヶ月との説が大半であった。


 音声に日が当たるといった趣向は先例がある。


【例句】

 閑さや岩にしみ入蝉の声 芭蕉

 やがて死ぬけしきは見えず蝉の声 同


 深草やうづらの声に日のあたる 井月せいげつ

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