立つ秋のつれなく見ゆる海辺かな

【読み】

 たつあきのつれなくみゆるうみべかな


【季語】

 秋立つ(初秋)


【大意】

 立秋をむかえた海辺の、何となくよそよそしく見えることである。


【附記】

 百人一首歌のひとつ、壬生忠岑みぶのただみね(生没年不詳)の「ありあけのつれなくみえし別れよりあかつきばかりうきものはなし」の本歌取りである。


 推敲前、下五「渚かな」→「浜辺かな」。


【例句】

 今朝秋けさあきと知らでかど掃く男かな 存義ぞんぎ

 秋たつや何におどろく陰陽師 蕪村

 硝子びいどろうをおどろきぬ今朝の秋 同

 秋来ぬと目にさや豆のふとりかな 大江丸おおえまる

 目に見えぬ秋に心の弱りかな 樗良ちょら

 人ひとり田中に立ちて今朝の秋 蒼虬そうきゅう

 秋立つや断りもなくかやの内 夏目漱石

 ふと揺れる蚊帳かやの釣手や今朝の秋 同


 あかあかと日は難面つれなくもあきの風 芭蕉

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る