道ばたに草花あへぐ暑さかな

【読み】

 みちばたにくさばなあへぐあつさかな


【季語】

 暑さ(三夏)


【大意】

 道端に草花もあえいでいる暑さである。


【附記】

 これくらいの句はすでに詠まれていそうなものである。


 なお、「草花」は本来三秋の季語である由。


【例句】

 暑き日を海に入れたり最上川 芭蕉

 石切の火をきり出す暑かな 正秀まさひで

 焼鎌をせなかに暑し田草取 其角きかく

 撫て見る石の暑さや星の影 除風じょふう

 青雲あおぐもに底の知れざる暑さかな 浪化ろうか

 風暑し茶の殻くさき縫枕 卜宅ぼくたく

 谷水に松葉の浮てあつさかな 一楊

 霄月夜よゐづきよ門に添乳そへぢの暑かな 巴人はじん

 唐秬たうきびの中ゆく笠のあつさ哉 也有やゆう

 井戸ほりの浮世へ出たる暑かな 同

 木枕に耳のさはりて暑きかな 太祇たいぎ

 日がへりの兀山はげやま越るあつさかな 蕪村

 百姓の生きてはたらく暑さかな 同

 暑き日や産婦も見えて半屏風 召波しょうは

 草暑し医者なき里の水あたり 五明ごめい

 さびつきて碇の暑し砂の上 乙二おつに

 杖ついて坂見上げたる暑哉 吟江ぎんこう

 ひえの葉の門より高きあつさ哉 一茶

 じつとして白い飯くふ暑かな 同

 暑き日や古竹燃してはぬる音 村上鬼城

 人間の皮着て今日の暑さかな 安藤和風

 赤き日の海に落込む暑かな 夏目漱石

 木の枝に瓦のさはる暑さかな 芥川龍之介

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