北御堂南御堂や花曇り

【読み】

 きたみだうみなみみだうやはなぐもり


【季語】

 花曇り(晩春)


【語釈】

 北御堂南御堂――「北御堂」は大阪市中央区にある浄土真宗本願寺派(西本願寺)の津村別院、「南御堂」は同区の浄土真宗大谷派(東本願寺)の難波別院の俗称。松尾芭蕉は南御堂前の花屋仁左衛門の屋敷にて没した由。

 花曇り――「桜の咲く四月頃の曇の天気をいう」(精選版 日本国語大辞典)。


【大意】

 北御堂と南御堂をかけて空の曇っている花の頃である。


【附記】

 芭蕉が花屋にて没したことや「花御堂」の語のあることなどから発想した。


【例句】

 川の瀬も鳴るや鈴鹿の花曇り 昌房しょうぼう

 甘き香の空に満けり花曇り 嘯山しょうざん

 四国路しこくぢに蝶も渡るや花曇り 紫道しどう

 花曇り尾上をのへの鐘の響かな 夏目漱石

 山間や村は杏の花曇り 正岡子規

 亡妻の四十九日や花曇り 寺田寅彦

 遠火事の覚束おぼつかなさや花曇り 芥川龍之介


 奈良七重七堂伽藍しちだうがらん八重ざくら 伝芭蕉句

 花御堂月も上らせ給ひけり 一茶

 明日知らぬ小春日和や翁の忌 井月せいげつ

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