前髪に涼集むるや遠花火

【読み】

 まへがみにりやうあつむるやとほはなび


【季語】

 遠花火(秋)


【大意】

 前髪に涼しさを集めつつ、遠くに揚がる花火をながめるのであった。


【附記】

 花火がぱっとひらくときに、やわらかな前髪に微風のそよぐさまなどが見えて、それがいかにも涼しげだといったことを言っている。


 推敲前、「ばさと切る額の髪や遠花火」。推敲の前後で趣がやや変わっているのが見てとれるかと思う。


 なお、「涼」は本来夏の季語のようである。


【例句】

 前髪もまだ若艸わかくさの匂ひかな 芭蕉

 五月雨さみだれを集めて早し最上川もがみがは 同

 小屋涼し花火の筒の割るる音 其角きかく

 青梅に眉あつめたる美人かな 蕪村

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