テントサウナ

野外でサウナができるテントサウナというものがあるらしい。それを聞いたおじさんはいろいろと調べてみた。


ざっくりとした仕組みとしては、断熱加工が施されたテント内で薪ストーブを炊き、テントのルーフに煙突を通せる鉄板付きの穴を用意し、そこから排気をするというものだそうだ。テント室内は高温になり、煙突付きのストーブであれば一酸化炭素中毒になる危険性を大幅に緩和できる。なるほど。


海外メーカーではテントやストーブは、専用の物がすでに販売されているらしい。そして、どうやら日本でも買えるらしい。このご時世、なかなか頻繁に温浴施設を訪れるのは気が引ける事もあるし、購入してみようか。何より、ちょっと面白そうじゃないか。おじさんはそんな風に思った。


そして、購入してみました。おじさんが購入したのは「MORZH(モルジュ)」というロシア製のサウナ用テント&ストーブのセット。仕組みは前述の通りだ。本来はキャンプ地に設営するものなのだが、まずは裏庭に建ててみることにした。


テントを張り、サウナストーブをセットし、煙突を通す。そして、一緒に購入したサウナストーンを直接ストーブの上にどどんと乗せる。そう、このサウナテントは、セルフロウリュができる造りになっているのだ。素晴らしい。


ひと通りの設営を終える頃には、うっすらと汗が。温まって汗を流すにはいい頃合いだ。早速薪を投入して炊いてみることに。キャンプの時の焚火と同じように、着火用の炭を使って手早く火をつける。小さな木切れや新聞紙を丸めたものが燃え始めたとことろで、本命の薪をくべていく。


薪が燃えるにつれ、室内の温度がどんどん上がっていく。熱い。普通に熱い。慌ててテントの外に出ると、甚平に着替えて再びテントの中へと入る。


戻った時には、テントの中はかなり暖まっていた。思っていたより早く暖まる。そしてお待ちかねのロウリュを試してみることに。


バケツに用意しておいた水を、ひしゃくで掬ってサウナテーブル上のサウナストーンへとかける。とたんに室内にはジュワアアアアアアという音が響きわたる。この音が聞きたかった。


2杯、3杯とかけてみると、テント内に熱波が降り注ぐ。正直を言うと、びっくりした。施設で行うロウリュと同じような体験がテントでできるとは。これは気持ちいい。


と、同時に、湿度の上がったテント内の体感温度はみるみる高まり、汗がぷつぷつと噴き出してきた。


しばし、テント内に持ちこんだキャンプ用の椅子に座って熱さを堪能する。気持ちいい。ひょっとしたらそれほどは暖まれないのかもしれないのかな、おじさんはそんな風に思っていたが、嬉しい誤算だ。十分すぎるほど汗をかき、蒸されることができてる。


ひとしきり熱さを堪能したところでテント外にでて、浴室へと向かう。あらかじめ水を張っておいた湯船につかると、思わず声が漏れる。気持ちいい。まさか自宅でこんな体験ができるとは。


すっかり水風呂を堪能したところで、庭に置いておいた椅子で休憩をする。普段と変わらない庭なのに、こんなにも外気が、そよぐ風が気持ちいいのは驚きだ。ありがとうテントサウナ。ありがとうサウナの神様。


そしておじさんは、もう2セットテントサウナを堪能したのでした。


設置やら、薪の燃え具合の管理やらで少々忙しいテントサウナだが、非常に楽しく蒸されることができる。さすがに最高温度的なものは施設には及ばないが、そのあたりはセルフロウリュで体感温度を調整して対応できるし、なにより、薪を燃やしたりロウリュを調整したりといった行為自体が楽しい。


率直な所、少々お高い買い物にはなるのだが、サウナ好きであれば、それに見合うだけの勝ちは十二分にあるだろう。川遊びのできる施設に持ち出し、水風呂代わりに川に入る、なんてムーブは考えただけで楽しそうだ。


テントサウナ、流行するのも納得の楽しさと、そして、気持ちよさでした。アウトドア好きでサウナ好きの方であれば、ぜひ。気の置けない仲間と一緒に楽しんだりしたら、施設でまったり蒸されるのとは、また違った楽しさもあるのです。

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