柚木の郷

柚木ゆのきさと」は静岡市のJR東静岡駅北口を出てすぐの場所にある、大きな総合温浴リラクゼーション施設です。のんびり過ごせるためのあれやこれやが充実している、おじさんをダメにする施設です。凄いのよ。


通常のお風呂・露天・サウナを利用するコースに加え、千円ほどの追加料金を払うと岩盤浴エリアも利用できる形態になっています。普通のサウナのみが目的であれば、通常コースでOK。両方頼んでも2千円以下です。


サウナは露天にあります。20名ほどが入れるゆったりとしたサウナ室で、ひな壇は3段。窓も多く光がたくさん入ってくるため、明るい室内です。備え付けのTV画面も大きいので、どこに座っても見られるのが嬉しいですね。


温度は75℃くらいでしょうか。少々低めかな、と思いますが、柚木の郷のお楽しみは、なんといってもロウリュです。1日に3回、熱波師の方がやってきます。2人組の熱波師さんのテンションは高く、アロマ水を使ったロウリュ&大団扇によるアウフグースを、なんと2セットもやってくれます。なんでも、月に1度はサウナ界では名の知れたレジェンド熱波師さんが来店されるそうで、その時のサウナ室は、おじさんでぎゅうぎゅうになるそうです。いつか行ってみたい。


温まったら水風呂です。サウナ室のすぐ隣にある水風呂は6人ほどは入れる広さ。温度は17℃ほど。水当たりがやさしく、とても深いのが特徴です。長い時間入っていられる系の水風呂ですね。


良く冷えたところで、水風呂のすぐ隣の小上がりを上がると、そこには板張りの休憩スペースが待っています。なんと、寝そべられるように枕付きです。ここでぐったりと休憩していきましょう。


ベンチ派の方もご安心を。露天スペースにあるベンチは、座面が編み上げ系のゆるりと座れるベンチで、とても落ち着きます。柚木の郷の露天スペースは、サウナ的な環境が本当に整っていて、サウナおじさん達に優しい施設なのです。


通常コースだけでも十分なのですが、岩盤浴コースにもサウナがあります。岩盤浴コースのコンセプトは「がんばらなくていいサウナ」とのこと。低温の岩盤浴用の各種の部屋がかなり充実しています。


岩盤浴コースの各部屋は、甚平のような専用の館内着を着て、そのまま入って寛ぐスタイルです。好きな部屋に入って、館内着と一緒に受け取った床式用のバスタオルを石の上に敷き、ごろりと寝転がって温まりましょう。


そして、岩盤浴コースの中にも、高温のドライサウナがひとつあります。その名も「汗蒸幕はんじゅんまく」というこの部屋は、なんでも韓国伝統のサウナ形式だそうです。中に入ると丸い部屋。円を描くようにレンガ造りの壁がぐるりと囲み、その上はモンゴルの遊牧民のテントのように、円錐型の幕が張ってある室内になっています。そして、部屋の中心には、どどんとサウナストーンが入った籠が。この室内のルックだけでちょっとしたアトラクション感があります。


そして、皆でぐるりとサウナストーンを囲むようにして座って蒸されます。岩盤浴コースは男女兼用なので、おじさんだけでなく、女性も一緒に蒸されるのですが、おそろいの館内着を着てサウナストーブを囲む様子は、ちょっとした儀式めいていて独特です。ちなみに、温度は80℃ほどとなっています。


さらに、汗蒸幕ではロウリュのサービスまであります。熱波師さんが4人ほどサウナストーン周辺に立ち、アロマ水をかけて一斉に頭上でタオルを振り回します。あふれだすレジャー感。そして、一人一人に向かってバスタオルをバサッと仰いで熱波を送るのです。4人もいると、熱波師さんによってタオルで仰いだ時の音の違いまで分かって面白いです。リーダー的な方が仰ぐと「バサッ」ってはなく「ッパァン」という感じのいい音がするんです。その昔、おじさんのお爺ちゃんが新聞で紙鉄砲を作ってくれましたが、そんな感じのヌケ感のある音がします。さすがプロ。


実はおじさんは、ここでタオル式のアウフグースを初体験しました。まさか、タオルいっちょではなく、館内着を着て扇がれるとは思ってもいませんでした。気持ち良かったです。


ところで、岩盤浴コースで汗をかいたらどこで冷やせばいいのでしょうか。浴場まで戻って水風呂に? それでもいいのですが、少々距離があって面倒です。でも、ご安心を。すぐ近くに「冷爽房れいそうぼう」と名付けられた、室温10℃ほどの部屋が用意されているのです。大きな冷蔵庫のような部屋ですね。汗をかいたら冷爽房へ向かい、部屋着を着たまま、まるで野菜かお魚かというように、そのままヒンヤリ冷やされましょう。


これがまた、気持ちいいのです。特に気温が上がってくる季節。冬場と違い、露天で外気浴をしてもそれほど爽快感はありませんが、冷爽房なら問題なしです。夏場でも、ひんやりした環境で外気浴をしているかのような冷たさを味わえます。


さらに岩盤浴コースにはヤバい施設が待っています。それは、どんなサウナかと言うと……サウナではありません。インターネットカフェや漫画喫茶もかくやという程の大量のコミック(15,000冊以上)が待っています。その脇には寝転べる休憩室が。温まったらゴロ寝でまんが読み放題。至れり尽くせりです。


そして、この休憩室のコミック、なんと、隣のトロッコサウナ(低温サウナ/岩盤浴の部屋)に持ち込みOKなのです。「サウナの中で本が読みたい」という夢が叶ってしまうのです。なんというおじさんをダメにする施設。おじさんはもう、ここから一歩も動かんぞ!


また、サウナ後のお食事スペースも充実しています。カウンター席、座敷席、テーブル席と各種の席のそろったお食事スペースは、メニューも充実しています。定番の海の幸やお蕎麦に加え、サウナ上がりにおいしいフルーツ系のドリンクやビネガー(お酢)系のドリンク、そしてビールや日本酒まで。


もう本当に一歩もここから出ずに1日完結してしまうほど充実した施設なのです。その気になれば、ヨガ教室や、あかすり・マッサージまでここだけで可能です。柚木の郷、おそるべしです。


ちなみに柚木の郷では、受付時に渡されるロッカーキーにIDチップが埋め込んであり、施設内の支払いは、全てキーをかざすだけでOKです。自動販売機から、お食事まで、キーひとつでお手軽です。夢のようです。お会計は、最後に出る時にまとめて支払えるようになっています。


おじさんの住んでいる村からは車で1時間と少しほど。それだけの時間をかけても、休日にでかけて半日ほど蒸されたくなる夢の郷。それが柚木の郷なのです。

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