サウナ後にあらわれる「あまみ」

蒸されて温まり、水風呂に入って冷える。いいサウナだったなあ、なんて余韻に浸りながら休憩していると、ふと、体の様子がいつもと違う事に気づく。


腿や腕のあたりが、赤く、網目のような、キリンの模様のようなまだら模様になっているのだ。これはなんだ。鏡を覗いてみると、首筋から胸にかけても同じような模様が――。


サウナ好きであれば一度は体験した事があるであろうこのまだら模様。これが「あまみ」だ。正式な用語というわけではなく、サウナ好きの間で使われている通称のような言葉です。


あまみのメカニズムは、実はあまり良くわかっていない。なんとなく経験則上「よく温まり、良く冷えるとあまみがでる」くらいの認識の方が多いと思われる。おじさんは腿によくあまみが出ますが、あまみが強いときは確かにすごく気分よくサウナに入っていた時が多いです。


サウナに関するあれこれを考察するブログである「Saunology」さんによると、あまみの出る原因は、「体温を下げるために毛細血管を広げる仕組みと、体温を下げないために毛細血管を締める仕組みが拮抗した状態ではないか」という考察をされている。


■Saunology:「あまみ」の仕組み

https://saunology.hatenablog.com/entry/sauna-etcetera02


読んでみると、なるほど、と思うところがたくさんある。仕組みの考察だけでなく「あまみ」という言葉の語源まで考察されていて、とても面白いポストなのです。Saunologyさんのその他のポストも、サウナのあれやこれやを分析する視点がとても面白いのでお勧めです。


あまみが出る=体に良い、とは言い切れないが、良く温まり、良く冷えた目安のひとつになりそうな現象なのだ。見た目にインパクトが強いので、わかりやすいというのもある。


このあまみ、休憩してロッカールームへと戻るころには大抵は消える。あくまでも、一時的な毛細血管の拡張/縮小のバランスの結果出る模様なのだろう。


ちなみに、あまみとはちょっと違うけれども、あまりに熱いサウナにうっかり入ると、まぶたや鼻の頭が真っ赤になる事があります。おじさんは過去に1度だけ経験しました。超熱いサウナにぶつかり、せっかくだからとしばらく入って出たところ、まぶたがアイシャドウでも塗ったみたいに真っ赤になった。


休憩していると、道行く先輩の多くがおじさんの顔を二度見するのを不思議に思っていたのだが、洗い場に座って鏡を見て納得した。コントの酔っぱらいメイクみたいにわざとらしい赤さに染まっていたのだ。我ながら、笑ってしまいました。


その他、あまみほどではないが、肌艶にわかりやすく変化が出るのがサウナの楽しい所のひとつだ。肌艶は良くなるし、むくみは取れる。鼻の頭なんてテカテカだ。しばらくすると元のおじさんに戻るのだが、サウナ直後のおじさんの顔は生き生きとしている。


サウナの本場フィンランドでは「女性が一番美しいのはサウナを出た後の1時間」という言葉まであるそうな。おじさんだって然りだ。


最近では、スマホで撮影した自撮り画像をいい感じに盛って楽しむ方も多いが、おじさんはその方法を知らぬ。だが、サウナに入って直後に自撮り画像を撮れば、だいたい同じ効果が得られるだろう(暴論)。


こういった普段は見られない体の様子というか、状態というか、変化や反応を楽しむことができるのも、サウナの魅力のひとつなのかもしれない。


腿や腕をキリン模様に染めながら、おじさんはそんな事をぼんやり考え、ととのっているのです。

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