休暇村富士

「休暇村富士」は、富士山麓の湖、田貫たぬき湖のほとりに建てられている、天然温泉付きのホテル&スパといった趣の施設です。


田貫湖は釣りやキャンプ、サイクリングなどが楽しめる自然豊かな湖です。野外キャンプのための施設も完備され、湖を囲む木々に集う野鳥の観察などでも人気があります。休暇村富士は、その田貫湖を一望できる場所に位置しています。


その昔、富士山周辺の地域は「富士の見える処に温泉無し」という言葉まであったように、天然温泉は見つからなかったのです。しかし、ボーリング(掘削)技術が進むにつれ、今までは掘れなかったような深い場所から温泉を掘り当てられるようになりました。休暇村富士の温泉の源泉も、地下深くからくみ上げられています。


泉質も程よいのですが、それよりなにより最大の魅力は、浴場の窓から見える風景でしょう。ホテル2Fに位置する大浴場から見下ろせば、眼下には緑豊かな木々と蒼く輝く田貫湖が広がります。さらに真正面には、どどどんと富士山が聳え立っています。ド迫力です。しかも、ここから見える富士山は、富士の裂け目、いわゆる「大沢崩れ」の部分が真正面となり、ちょっとキズモノ感のあるゴツめのルックスとなります。よく、漫画や映画で、顔に傷のある歴戦の強者がでてきますが、あんな感じです。チョイ悪富士山です。


昼間はもちろん、夜間でも月さえ出ていれば富士山が見えます。月明かりに稜線のフォルムが浮かび上がり、それはそれでまた美しいのです。


しかし、おじさんの目的は景色などではない。サウナだ。


休暇村富士のサウナは、とても小さいです。家庭用サウナといっても差し支えないくらいのものが浴場の片隅にちょこんと設えてあります。中は4~5人が入れるくらいのサイズです。ひな壇は3段(床・1段目・2段目)で、温度は80℃ほどです。


サウナ利用者はそれほど多くないためか、サウナマットやバスタオルなどは敷いてありません。直接木の上にぺたりと座ることになります。サウナを利用する場合にはバスタオルを自分で持ち込んだ方が良いかもしれませんね。こじんまりとしており、サウナストーブとの距離も近いせいか、かなり温まるのはGOODです。


そして、サウナを出た後なのですが、水風呂はありません。しかしご安心を。サウナの入り口すぐの個所に、専用のシャワーが設えてあります。これを使ってたっぷり冷水を浴びましょう。


シャワーの水圧は高く、いつもの水風呂では十分に冷やせない頭や顔、そして首筋に思いっきり冷水を浴びせれば、また違った爽快感が得られます。これはこれで、気持ちのいいものです。


特に、水風呂で水をかぶるのが好きな方や、首筋まで浸かるのが好きな方、是非、高水圧のシャワーを辺りにドバシャーとかけ続けてみて下さい。そこにはいつもとは違う、新たな冷えの向こう側の世界が待っています。おじさんは富士山よりもこのシャワーの事を思い出し、定期的にここを訪れたくなります。


十分に体が冷えたら休息を取りたいところです。しかし、露天スペースはありません。そもそも、ホテルの2階に浴場があるので仕方ないのですが、浴場内にもベンチはありません。そこで、いったん体を拭いて更衣室まで戻りましょう。ここならベンチがありますし、なんなら、扇風機もあります。腰を掛けて目をつぶり、風にあたってととのいましょう。


サウナ後のサウナ飯は、食堂へGOです。静岡県西部を中心とした地域で育成が盛んなブランド牛「静岡そだち」のステーキや、中部の清水港で水揚げされたマグロを中心とした海鮮料理、富士山周辺で育成されたブランド鱒である「あか富士」を使ったお作りや丼物、さらには田貫湖にかけた「たぬきそば」までより取り見取りです。


おじさんのおすすめは紅富士の丼です。産地が同じ市内なので、ご当地ならではの食材なのです。鱒はいちおう川魚のため、海鮮丼ならぬ川鮮丼になるのでしょうか。平たく言ってしまえば、おいしいサーモン丼です。温泉系の施設って、肉料理よりお魚料理が充実してますよね。


富士山周辺でのんびりと遊ぶ際、どさくさに紛れてサウナまで堪能したいときには、休暇村富士を宿にするというのは、アリだと思います。湖畔で遊んで、富士山を見ながら温泉に入って、そしてサウナ。いいじゃないですか。


ちなみにこの温泉、入浴だけのいわゆる日帰りサービスもやっているのですが、ひとつご注意を。日帰りの場合の入浴時間は、11:00~14:00までの3時間に限られているのです。あとは宿泊されている方の時間ですよ、ということですね。


遊びに行ったついでに寄ってみようか、という場合は、この時間制限に気を付けてお立ち寄りを。がっちりサウナを堪能しようとする場合は、結構な時間がかかりますものね。

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