休憩スペースという安息の地でととのう

サウナで温まり、水風呂で冷えたらそこで終了。体を拭いてご飯でも食べに行きましょう。――とはならない。もうひとつ大事な工程が残っている。そう、休憩だ。


休憩とは、その名の通り休むことだ。ただ休むだけ。何もしません。だが、水風呂の後の休憩は、運動した後の休憩や作業した後の休憩とは一味違うのだ。端的に言うと、気持ちいいんです。


サウナ・水風呂を終えたら、まず、ゆっくりと休める場所を探そう。そこそこのサイズの施設であれば、大抵浴室内のどこかに休憩用のベンチがあるはずだ。露天風呂がある場合は、露天に設えてある場合もある。浴室内に無い場合でも、ロッカーや洗面所などに置いてある事もある。


もし、ベンチが無くても大丈夫。洗い場の椅子に腰かけて一息つこう。とにかく、座ってゆっくりできればOKだ。


サウナや水風呂後の体は、そこそこ疲れている。そして何より、体温や血管の状態が平時とは違う。そこで、休憩をすることで、ゆっくりと平時の状態へと戻していくのだ。


休憩スペースが確保出来たら、出来るだけリラックスしよう。体の水滴を拭いて目を閉じるのも良い。すると、不思議な感覚がやってくる。


体の奥はサウナの効果でポカポカと、表皮は水風呂の効果でスッキリとしていた状態が、だんだんとなんだか混ざり合い、腕や背中がゾワゾワとしてくる。目を閉じているのに、その奥からは何かがチカチカと瞬いている。そして首筋がゾワッとすると同時に、ぱあっと耳の方に何かが届く感覚が産まれ、なんだか頭がすっと澄み渡るのだ。――最高だ。俗にいう「ととのう」感覚だ。


この「ととのう」という言葉は、サウナ大使であり、漫画家/アーティストのタナカカツキさんが産み出したという。言いえて妙だ。タナカカツキさんが、サウナに関して描いた漫画/エッセイである「サ道」内で紹介し、ある意味、定義づけてくれたこの感覚は、まさに、ととのう、感じなのだ。この言葉を知って以来、おじさんも、あの感覚が来ると「うはー、ととのったー」と心の中で叫んでいるのだ。目はつぶっているけど。


熱い/冷たいという極端な状況におかれていた身体が平時の状態に戻る安心感だろうか、それとも、血流が一気に脳へと流れ込む幸福感だろうか、あるいは、それらにより何らかの物質の分泌が行われているのだろうか、ともかく、休息をすると、そんな気持ちよさが待っているのだ。


サウナをただ熱いだけの謎の施設と思っていた、以前のおじさんのような方には、是非、このサウナ→水風呂→休憩までの一連のセットを試してほしい。いやほんともう気持ちがいいんです。


そして、これらを「一連のセット」というのには含みがある。そう、この3つの工程は「1セット目」なのだ。1セット目があるということは、2セット目以降もあるということだ。


何セット嗜むかというのがまた楽しいところなのが、それはまた次の機会に。

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