第2章第10話 何でこんなに遅いの、シフト作成!

 シフト作成が遅い、そうして、出来上がったシフトがひどい、ということは、わたしが入社する大分前から言われていたことらしかった。なにせ、新しいシフトが出来上がるのが、まさにそのシフトを利用する3日前ということがザラ。わたしは、高校生の頃、アルバイトしていたことがあったので、次の月のシフトが、遅くとも、そのシフトが始まる2週間前までには出来上がっているのが普通だと思っていた。それだって、ちょっと遅いんじゃないかと思っていたくらいだったのだけど、この会社はその比じゃなかった。遅すぎでしょ。


 シフト作成は、マネージャーの唯一の仕事らしい仕事で、一度、本部長からシフト作成の遅さを注意されたマネージャーは、次の月は何とか早くなったけど、そうそう簡単に仕事の仕方を変えることなんてできないようで、さらにその次の月は、また元の木阿弥になってしまった。本部長からまた注意される必要があるね、これは。


 で、みんなが、あまりにブーブー……というか、正当な批判なんだけどさ、マネージャーのシフト作成の遅さを言い過ぎたせいか、マネージャーはシフト作成から手を引くということになった。唯一の仕事であるシフト作成から手を引いたマネージャーには、いったい何が残るのか分からないけど、まあ、知ったことじゃない。


 それはそれとして、シフト作成は、工場の浅井さんという人の仕事になった。マネージャーよりは、随分と早くシフトを出してくれて、これで、次の月の予定も立てやすくなったとみんな喜んだのも束の間、


「なにコレ……!?」


 内容を見て、愕然とした。というのも、勤務の内容がめちゃくちゃだったからだ。連続5勤なんていう勤務があるかと思いきや、セールで客がバカみたいに来るときに一人になっているとか、これなら、まだマネージャーのシフトの方がマシだったくらいだ。しかし、いったん作られてしまったシフトを、そう簡単に変更してくれなどということは言えないわけで、仕方なく、その月は、そのシフトでいくことになったけど、囂々ごうごうたる非難が上がったことは、言うまでもなかった。


 シフト作成は、再びマネージャーに任されることになった。

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