概要
東亜電力株式会社研究開発部門に勤務していた海崎景は、三年ほど前に統合失調症を発症し、技術部門へと異動になった。中央給電指令所で電力の安定送給に勤めていた彼だったが、原因不明の停電が頻発するようになる。電力需要予測システムの精度を上げるべく対策を講じようとするが、それが思わぬ事態を招くきっかけだった。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!バイオとエネルギーの未来をかけた才能ある男女の戦い!
読者は「グリーン・ウィル」という言葉に込められた意味を考えずにはいられないでしょう。
新時代のバイオエネルギーを生み出した天才たち。そして、失われた愛する女性の命。始まる、謎の停電事故。
近未来を舞台にしたバイオ&エネルギー産業を舞台にしたサイエンス・フィクション。
飛び交う専門用語に、哲学的な議論。細部を指摘しだすと、いろいろとツッコミどころは無きにしもあらずですが、カクヨムのWEB小説にして、その思想的、哲学的なところに、踏み込んでいこうというのは、意欲的と言わざるを得ない作品。
端的に言えば、「星崎節」――今回も健在なり!
ラストは問題解決に向けてのノンストップアク…続きを読む - ★★★ Excellent!!!SFが教えてくれるものがあります
SFと言うと小難しい印象を受けて、敬遠してしまう人もいるかもしれません。実際、ハードSFの一部には超高校級レベルの予備知識がないと理解ができない作品もあります。ただ、本作においては、専門的なものもありながらも可読性が保たれているどころか高いレベルを維持できるというのは、ひとえに作者の文章力が秀でているお陰でしょう。
さて、SF小説では、現実にはない架空の技術などが登場し、社会が様変わりした姿が頻繁に描かれています。けれども、SFのエッセンスとは架空技術の素晴らしさではありません。その技術によって人がどう感じ、社会がどう変わるかです。良いSF小説とは、現実にない道具立てを使うことによって、全…続きを読む - ★★★ Excellent!!!その思いたちは風にのって――。その行先がどうか約束の地でありますように
次世代発電システム、その名は「グリーン・オルガネラ」
クリーンで安全なエネルギーは、国際展開も含め社会へと広く浸透し、人々の生活を支える大切なエネルギーとなるのだが――。
現実と幻想。その境目にあるもの。
虚構と現実。境界線が分けるもの。
寄生と共生。ふたつを区切るもの。
本当に正しいことってなんだろう
本当の正しさとは存在するのか?
願いと心。希望と夢。思いと想い。
夢が現実そのものであると気付いた時、君はどうする?
人が人として生きていくとはどういうことなのか。
いくつもの大切な問いを胸の中に浮かべながらの最終話、涙がこぼれました。
揺るがない意志は人の心を打つ。
そしてそ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!難しいことは分からない。でも、この作品が美しいことは明確に分かる。
人間にとって必要なエネルギー生産の問題と、人の主体性について論じた作品。
次世代の安全なエネルギーとして利用されている、グリーン・オルガネラ。そのシステムを生み出したのは、女性一人と二人の男性の天才三人組。
物語は天才の一人である主人公が、幻覚に悩まされて通院しているところから始まる。主人公は理解ある職場で、通院しながらもささやかな日々を送っていた。
しかしある日、突然、安全なはずのグリーン・オルガネラは停電を起こす。そして、グリーン・オルガネラに行きつくまでの過程で、ある爆発事故のために一人の天才が命を落としていることが判明する。そこから問題はエネルギーだけではなく、寄生と共生の問…続きを読む