概要
考古学者の田辺は防衛省に務める旧友から奇妙な遺跡の調査を依頼される。困惑する田辺と共に集められた6人の科学者は遺跡で未知の物体と対峙することになる。そこで7人の科学者達は選択を迫られる。各々が信念を持ってした選択。そして選択から生まれた新しい世界は加速していく。しかしその世界は地に着いたものだろうか? 再び集まった科学者達は己が選択の正しさを実証するために立ち上がる。
オーバー30歳主人公コンテストで大賞を受賞しました。
登場人物(氏名/所属/専門分野)
田辺薫(たなべかおる)/熊本文化大学/考古学
宮笥ゆみこ(みやけゆみこ)/物性研究所/材料学
海良義彦(かいらよしひこ)/東塔大学/国際政治学・国際法
爾
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!知的興奮を存分に味わえるミステリーSF!
たまたま出張の移動中に読んだということもあったのですけど、これほど一気読みしたカクヨム作品は珍しいです。それほど、のめり込んじゃいました。
ミステリーSFの傑作です。
SFの醍醐味っていろいろあります。遠い未来や未知の世界を想像すること、人間って世界って何だろうと考察すること、センス・オブ・ワンダー。そのなかでも知的好奇心を満たしてくれて、なおかつミステリーとしての謎解きの要素もきちんと組み込まれている小説は、いくつになっても私をわくわくさせてくれます。
でも、そんな小説を成立させるのはとても難しい。素人が簡単に手を出せる領域ではありません。なので、カクヨムでそんな作品を読めるとは思っ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!それは人類にとっての福音か、それとも災いか
考古学者の田辺は防衛省に勤める旧友からある遺跡の調査を依頼される。
その遺跡で彼女が遭遇したものは、宇宙人が作りだしたと思しき未知の生命体――パリキィだった。350万年前から地球に居たパリキィは調査班の面々に己を木星に飛ばすよう要求する。
一度はパリキィへの協力を約束した一同だが、時が経つにつれてある疑惑が持ち上がってくる……果たしてパリキィは本当の目的を語っていたのだろうか?
ロケットの打ち上げまで残り一週間、それぞれの手法で調査を開始した科学者たちは、やがて思わぬ真実に行き当たる。
SF的な設定を軸にして、謎多き生命体――パリキィの正体を探る変則的なミステリー。
作中に登場する七人の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!考古学者とその他専門分野の人々による、論理的バトル!
主人公は考古学者。日本の縄文時代に詳しい。そんな中、友人によって縄文時代のオーパーツ(人間の知識や技術では地球上にあり得ない物)の検査を依頼される。しかし、どんな検査をしても、製作年代は縄文時代だが、未知の物体だった。
それからしばらくして、主人公は他の分野の研究者たちと引合される。そして強烈な個性を持つ研究者たちと共に訪れたのは、そのオーパーツが発見されたという「遺跡」であり、そこには縄文人の骨まであった。しかし、驚くべきところはそこではなかった。その場所には、何と未知の生命体、しかも木星への帰還を要請する生命体がいたのだ。ここから、主人公たちの論理バトルともいえる応酬が始まる。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ファーストコンタクト物が大好物な方におすすめ。
プロローグを開いてからほぼノンストップで最新話まで読破しました。
本作は未知の存在に対して人類が如何に近づいていくのか、その過程が描かれる様はある意味シミュレーション、思考実験的であり、喩えが映画で恐縮ですがドゥニ・ヴィルヌーヴの「メッセージ」やロバート・ゼメキスの「コンタクト」、あと皆さんご存知「シン・ゴジラ」的な面白さに満ち溢れています。
それに扱うテーマは硬派ながら、若干(ここがミソ)門外漢の視点で描かれており、噛み砕かれた語り口調と身の丈の人物描写により入り込み易く、間口は決して狭くありません。
いやはや、次の更新が楽しみです。
どストライクです。