オレ、元勇者なんだけどつまらないおっさんと麻雀ばっかりやってる生活から抜け出させてくれ

奈名瀬

牌魔国編

プロローグ

第1話 人生フリテン勇者

 人生には、ここ一番という勝負どころが来る。

 だが、栄光への架け橋であると同時に、地獄への片道切符でもあるのだ。


「勇者よ、貴様の命運もここまでのようだな……」


 ニヤリとあくどい笑みを浮かべ、魔王は呪文を唱えた。


「リーチ一発タンヤオ平和一盃口槍槓清一色ドラ5!」

「なん、だと!?」


 魔王の唱えた呪文!

 その効果はまさに――疑いようのない数え役満デススペル


「ククク……32000点だ」

「うっ――」


 奴の点数申告死刑宣告が終わった途端、俺が身に着けていた鎧は砕け、手に持つ剣は棒切れのように折れ曲がった!


「うわあああああああっ――」


 奴の数え役満デススペルの威力はすさまじく、俺は魔王城の床に倒れてしまう。

 俺の残りの点棒はわずか1000点。

 だが――。


「まだだ、まだ俺は……諦める訳にいかないっ」


 約束したのだ。

 必ず魔王を倒し、この国に平和をもたらすと――。

 ボロボロになった剣を地面に突き立て、俺は再度『決闘空間』を構築するための詠唱を行う!


「決闘空間——南三局!王羅守オーラス

「ククク! 受けてたとう! 満身創痍になりながらも! 今だ闘志を失わない勇者よ!」


 次の瞬間、俺と魔王の目の前に十三枚の呪文石が出現した!

 そして、奇跡は起きる!


(これはっ――)


 俺の目の前に出現した呪文石は――一萬、九萬、一索、九索、一筒、九筒、北、東、南、西、白、発、中。


(——国士無双、攻撃発動条件成立テンパイ


 まだ戦える――この逆転手ならっ!

 俺は、そう確信した……だが!


「ククク……どうやら、勝利の女神すら我に屈したようだな」


 俺が攻撃呪文を発動する前に――。


「まさか――」


 魔王の攻撃呪文が放たれた。


「天和四暗刻……」

だ、ダブル役満超過致死領域攻撃呪文!?」

「64000点だ……クハハハハハハ! さあ敗北した勇者……いや、元勇者よ! これからは馬車馬のようにこき使ってやろう!」


 こうして俺は魔王によって地獄への――世界滅亡の片道切符を掴まされたのだった。

 


 

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