第23話 竜殺し!絶対有利の条件!

 ナキ 32700点 西

 少女 37300点 親

 ジゼ 35000点 南


 ナキによる竜殺しの少女へ放銃振り込み

 これにより点数が変動し試合が東二局へと移る最中。

 ナキは少女が出した24000点を倍満ないし三倍満であがれという条件――その意図に気付いた。


(あの条件。24000点以上という提示された数字そのものに意味はない。大事なのは、私とジゼが。そこにあるのね)


 『役満をあがれ』という無茶な条件を吹っ掛ける訳でもなく、少女はナキとジゼが


 三魔で24000点をあがる。

 多少厳しくはあるが、これはできないことではない。

 だが、その難易度はドラの有無によって大きく異なる。


 例えば、先程ナキの狙っていた三色同刻もドラがなければただの40符――3900点の狙い目に過ぎなかった。

 だが、これにドラが6枚乗れば40符となり――点数は24000点になる!


 しかも! 仮に、ナキが三色同刻のみの両面待ちではなく。

 対々和になるシャンポン待ちを狙っていれば、ドラは4枚あれば24000点に届いていた。


 、竜殺しの少女が提示した条件は達成しやすくなる。


 だが、逆に言えばドラがなければ彼女の出した条件を達成することは急激に難しくなるのだ。


 つまり――。




(竜殺しちゃんの提示した条件の目的は、私達に


 ただあがるだけならばドラは必要ない。

 例え安い点数でも――そう、3900点の三色同刻でもあがりはあがりだ。

 ドラなどなくても、試合に勝つことはできる。


 でも、私達は24000点という高めを狙うことを彼女に強いられた。

 点を高くするためには、ドラを捨てる訳にはいかない。


 竜殺しちゃんは『ドラを多く抱えた者からあがる』という自分の異能を存分に発揮するために、私達がドラを抱えるしかない状況を用意したのだ。




 自分達の背負ったハンディキャップの大きさにナキは気付き、ぎゅっと唇を噛んだ。

 だが、彼女はまだ戦う意思を失わない。


(上等じゃないっ――)


 東二局――。

 ナキは王牌の『中』を見て、ドラが『白』であることを確認する。


 そしてっ!


「さあ、あたしの親番ですよ?」


 楽し気に笑いながら竜殺しの少女が『一萬』を切り、続くジゼが『四索』を捨てた直後!


呪文石多方奪取ポン!」


 ナキは『四索』を鳴き、手牌にあったドラである『白』を河へと捨てた!


 その瞬間――竜殺しの少女の笑顔が凍る。

 対して、ナキの表情には挑戦的な笑みが浮かんだ。


(――ドラがなくても、


 ナキは鳴いた『四索』――。

 そして、手牌の『發』といくつかの索子を見ながら、竜殺しの少女に打牌を促す。


「さあ。来なさいよ竜殺しちゃん?」


 ナキの瞳には、新たな勝ち筋が見えていた。

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