第26話 竜殺しに報酬を!
緑一色を狙うナキにとって、有効な牌というものは少ない。
しかもまだ浅い巡目……有効牌を引けないことは当然ある。
だが――。
(また、白か……)
彼女はドラをツモり、悔し気に口元を歪めた。
(私だって、そうそう都合よく緑一色に必要な牌をツモれるとは思ってない。でも、有効牌をツモるよりも先に竜殺しちゃんにドラをツモらされてる)
ツモった『白』を捨て、ナキは自身の河にドラが三枚並んでいる様を見つめて唇を噛む。
(これで河に出たドラは5枚……今のところ、
まだ数十枚ある山牌の中に隠れた5枚以下のドラ。
竜殺しの少女が相手にドラを抱えさせることができたとしても、この先は容易ではない筈だとナキは考えた。
(やっぱり、この戦い方は間違ってないわ。私とジゼは互いにドラを捨てることで、あの子にあがられることを防ぎ、その間に手を揃えることができる……でも――)
ナキは息を呑み、目線を映す。
手番が回り、焦る様子もなく『九索』を捨てる竜殺しの少女。
彼女の姿を目にする度、ナキは自身の抱いている優位性を疑わずにはいられなかった。
(本当に、これでいいわよね?)
しかし、ナキの抱く疑心に反して、対局は静かに進んでいく……。
この後、ジゼがドラである『四筒』を捨て、河に6枚のドラが出た。
直後、ナキの捨てた『一索』を少女が
次いで、再び手番が回って来たジゼが赤ドラの『五筒』を捨てると、河に出たドラは7枚となった。
そしてまた、ナキに手番が回り――。
(来たっ――『四索』! これで緑一色、
山から牌をツモった彼女は、緑一色に必要な牌を着実にそろえ始めていた!
(あとは『八索』と『六索』を鳴ければ、さっき引いた『三索』と合わせて
先程の東一局とは訳が違う。
ドラを10枚抱えさせられた前局とは違い、今のナキは一切のドラに頼らない手牌だ。
竜殺しの少女に付け入られる隙はなく、彼女は(今度こそ――)と勝利を確信し、『七索』を捨てた。
だがっ――!
「……
「えっ……?」
ナキが『七索』を捨てた瞬間、竜殺しの少女はそれを大明槓をしてみせた!
(しまったっ、また――またドラが増えるっ)
もしも、緑一色に必要な牌がドラに変わったら――。
船底に穴が開いたように、ナキの胸の内へと不安がなだれ込んだ。
しかし……。
このカンで、ドラが増えることはなかった……。
「
暗槓と違い、大明槓でカンした場合はカンドラをめくる前に打牌を完了する必要がある。
だが、もし……その大明槓でツモったリンシャン牌で、あがってしまったら?
「
新たなドラを表示する間などなく……この局の勝者が決まった。
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