11.3つまでルール

以前、TV番組のMCなどで活躍されている赤坂康彦氏の話を生で聞かせていただいたことがあります。たまたま小規模なトークイベントに巡りあった、という感じです。


ラジオDJとしても活動されているので、その時はラジオ番組ってのはこんな風に作ってるんだ、的な話がメインでした。結構前の話なので、今はもう細かい部分ははっきりと覚えていないのですが、「腹を下したときの生放送がとにかくヤバイ」というしょーもない話はインパクトもあって今も覚えています。いや、赤坂氏の名誉にかけて、ためになる内容が盛り沢山だったはずなのですが、僕の記憶力がダメなだけです。許してください。


ただ、もう1つだけ、とても印象に残った教訓がありました。まだ創作のその字もわかっていなかった僕はそれを聞いてハッとさせられたことを覚えています。それは


「1つの説明で3までだ。それ以上の数字を入れるようなら、それは放送作家として三流」


というダメ出しです。つまり、ラジオ番組では色々とイベントなりナニガシかの新発売の告知があって、台本などにそれが書かれるわけですが、そこに数字の情報を詰め込むな、ということです。例えば発売日や値段、売れ行き、あるいはアーティスト自身に関すること等々でもメンバー数、発足からの年月など、数字を使う情報はあるかもしれません。そういうのを一気に説明してもリスナーさんは覚えてくれないぞ、ということです。とりわけラジオは音しかないので、このあたりシビアなんだろうなと思います。


この3つまでというラインは結構絶妙なところです。4つ以上になってくると、僕的にはちょっとメモが欲しくなってくるかもしれません。実際、人には短期記憶と長期記憶というものがあるそうです。脳に染み込んで忘れないレベルにまでなった長期記憶とは違い、ぽっと出の情報を一時的に覚えておく短期記憶は個数に限界があると言われていることを後で知りました。この上限数はいろいろ諸説があるようですが、せいぜい一桁です。


小説は文字なので多少は融通が利くとは思いますが、特に序盤は新しいことを色々書かなくてはなりません。登場人物の名前、風貌、性格、バックグラウンド……さらにはストーリーで起きるイベントの数々。設定情報を先頭で全部一気リリースしちゃうと読者様をパンクさせてしまいかねないので、そこらへんは僕も気を付けないといけないなと思っていたりします。……どうなんでしょう、気にしすぎですかね。


なるべく新しい要素は小出しにして、繰り返したりイベントでそれを印象付けて長期記憶化、そしてまた新しい要素を紹介、以下繰り返し……みたいな。そういう段階を踏むテクニックも必要になってくるのかな、とか思ったりします。……これはうまくやらないとダレてしまうので難しいです。俗にいうテンプレ小説というのは、あるいはこういうところをハショれるのが強いのかもしれません。


この辺りはバランスも大事になってきそうな気がしますし、流儀もあると思います。僕は冒頭に書いた通り物覚えが悪いので、それに合わせて文章や構成はちょっとクドくなってるかもしれません。


今、序盤を色々と書いていて、ふとこの辺りの話が頭をよぎりましたので、自分への戒めとしても書いてみました。まだまだ頑張ります。


ではまた。

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