53.言語学をかじる
夏がやってきて、オリンピックが始まりました。
色々な意見が飛び交う現在ではありますが、僕はスポーツ全般大好きで、純粋にスポーツの祭典として楽しんでおります。
頂点を目指して頑張っている人達の様子を目の当たりにすると触発されるというか、僕も頑張らなきゃな―、と心のベクトルが前を向く感じがしますよね。
で、今日の本題なのですが、僕は日本語について知らないことが多すぎるなー、と痛感するこの頃です。
小説を競技と言いたいわけではないのですが、要するに小説って言葉を武器に読者さんと1対1のバトルを挑むようなものじゃないですか。それなのに僕は自分の武器である言葉について、日本語についてよく知らないまま感覚でやってしまっているなー、と感じたりした次第でありまして。
や、何があったのかと言うと話は単純で、最近YouTubeで動画をダラダラと見ている中で――そのせいで執筆がなかなか進まないわけではありますけれど――とあるチャンネルに出会ってしまったのです。それが、
ゆる言語学ラジオ
というチャンネルです。(Apple ポッドキャストなど他媒体でも展開しているようです)
今年の3月くらいからスタートしていて、以降コンスタントな投稿が続き、すでに約40のコンテンツが用意されています。(1回あたり約20分くらい)
面白いです。言語学がここまで面白いものだとは思ってませんでした。
言語学、は言語そのものを研究する学問です。誤解されやすいかもしれないですが、言葉を覚えること、が本質というわけではありません。(英語が喋れるようになる、ということではない)
なので言語学をやったから語彙力が増えるとか、言い回しの技術が上がるとか、直接的にはそういうことにはならないのですが、代わりにある単語の成り立ちとか、その単語が文中で果たす役割とか、言語学ではそういうところにフォーカスが当たっています。
これが面白い。(2回目)
いやー、僕とか学生時代、あまり本も読まず国語の授業も脳死詰め込みでやってましたけど、せめてこういう知識にもっと前から触れていれば、今書く文章はもっとマシになったのかなぁ、なんて思ったりします。
うん、ちょっとどう説明したらよいのかも迷いますね。なんかブツ切りになってしまうかもなのですが、小説執筆に参考になりそう、と思った回を以下で紹介してみます。
・第10回 「象は鼻が長い」の謎-日本語学者が100年戦う一大ミステリー
リンク:https://youtu.be/yzTqAU_kiKM
「象は鼻が長い」の主語は何か。象なのか、鼻なのか。
どうもこれは現時点でも明確な結論が出ていないらしい。
ただ、幾つか論説がある中で個人的にもしっくりきているのが、日本語は必ずしも主語を必要する言語ではないということ。そのうえで、「は」トピックメーカー(文における主題を定義するもの)として機能する。
例えば名作『吾輩は猫である』では冒頭「吾輩は」で入って、ここでトピックが定まることで、その後4文くらいが「吾輩」の説明として機能する。
引用ここから―――
吾輩は猫である。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。
―――ここまで
・第27回 怪獣の名前はなぜガギグゲゴなのか? ソシュールVSソクラテス!【音象徴1】
https://youtu.be/kqM4K--Vyi4
音には意味が含蓄されている。(人間には音に対する一種の共通感覚がある、と言い換えられるかも)
たとえば母音にはスケール感の違いがあって、
大きい母音 お > う > あ > え > い 小さい母音
のような並びになる。
だから「ミッフィー」は小さめなイメージが浮かぶけれど「マッフォー」だとでかく聞こえる。(ネーミングに活かせそう)
・第38回 なぜ「仏の顔も3回まで」は間違いなのか?【助数詞2】
https://youtu.be/K5_ktUB62G0
ものの数え方の表現(助数詞)で、そのものの雰囲気を微調整することができる。
例えば「1個のメロン」と表すよりも「1玉のメロン」と表す方が高級感が出る。
さらに言えば、それを言った人物が、そのものに対する価値観(大事にしているかどうかなど)をにじませることができる。
というか、単純に
「匹」と「頭」はどう使い分けるのか
(成人男性が抱きかかえられるサイズまでが「匹」)
「回」と「度」はどう使い分けるか
(次を期待できる場合が「回」、できなければ「度」)
のうんちくの時点ですでに面白い。
……どうでしょう。こんな風にかいつまんだだけでもメッチャ面白くないですか?
これに触れて、あ、なんか少し書く文章が綺麗になるかも、という感覚があったので、皆さんにも共有しておきたいと思います。
いやーいい時代ですね。昔はこんな知識を得ようとすると大学でその授業をとったり、図書館で参考文献を探さなきゃいけなかったのが、今はこうしてオンラインで偶然出会うこともできるし、垂れ流しで摂取することもできる。
だから僕がYouTubeに入りびたるのも当然で(その辺にして作品を書きたまえ)
ともあれ、今後も色々摂取していきたいなぁと思います。
皆さんがこれまで触れてきたオンラインコンテンツで、執筆に活かせそうなものは何かありますかね。
良かったらコメントで教えてください。
ではまた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます