居酒屋風キーマカレーサラダ
「主食に野菜があってもいいと思うのよ」
妻の奏恵について、"恐ろしい"と思う事は食卓の常識を疑い、それに一石を投じようと常に伺っている所である。では、何が恐ろしいのかと言われれば、それを実現するのは常に夫の義彦である事だ。
「白ご飯に主菜、副菜、汁物が付いてこなきゃ食事という時代は終わったのよ(=一度に何品も作るのが面倒だから、それらを可能な限り全部兼ねた料理を教えて)」
ここまでの奏恵の発言から、何を求めているのか?という点を搾り出すと以下のような結論がむき出しになる。
"普通に食卓に出されても主菜で通じるようなサラダを作れ"という事だ。
これがいわゆる夫婦間の"ミッション・インポッシブル"であるのだが、これが何度も義彦に課され、その数だけこなされてきた事を考えると、今日における奏恵の無茶な注文の原因は義彦にも十分に考えられると言っても過言ではない。
これもまたパターンとして、被害者がいつの間にか加害者にすり替わっている事もあるのだ。そう考えれば、奏恵が義彦に(料理についての)無茶な注文をする理由についても納得がいく。
…それがいっていい納得なのかは分からないが、少なくともそう考えなければ夫婦生活をやっていく事なんてできない。
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*居酒屋風キーマカレーサラダ
材料(2人前):
合いびき肉…200g
ショウガ…小さじ1杯
コンソメ…小さじ1杯
トマトケチャップ…大さじ2杯
砂糖…小さじ1杯
塩コショウ…小さじ1杯
もやしミックス…1袋
カレールー…2欠片
道具:
耐熱容器
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しかしながら、このような夫婦関係(実際は作者が捻じ曲げた解釈をしているだけで、当の本人達には夫婦生活に対する不満は無いのだが)でも、救いはあった。
"もやしミックス"をはじめとするカット済みの野菜を使用する事については、義彦に創作料理を求め続ける奏恵も認めているという事だ。
奏恵が自分から創作料理を編み出す事は無いが、それでも既出の創作料理を食卓に出す事はある。もし自分がするとなると確実に"手間を省きたい"となる事から、最も手間のかかりそうな"カット済み野菜"に対しては友好的と言ってもいい。
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作り方:
①耐熱容器にもやしミックスを敷きましょう。
②合いびき肉にショウガ、コンソメ、トマトケチャップ、砂糖、塩コショウを混ぜ合わせ、①の上に乗せ、更にカレールーを乗せたらラップをしてレンジで12分!
③レンチンした②の、ひき肉の部分とカレーを混ぜ合わせたら完成!お好みで温泉卵をのっけても美味しいです!
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「これをサラダと言うのね」
混ぜ合わせた"カレーの匂いと見た目"がする料理をサラダと言い切った義彦に、奏恵は疑問を感じてしまう。
しかし野菜に調味料や香辛料を加えるか、あえたものと定義するのであればこの料理を"サラダ"と言いきる事は全くもって間違ってはいないのだ。
その説明をすると、奏恵は渋々サラダを口に運ぶ。
「美味しいのよ、訳の分からない癖に」
ご飯に混ぜたらビビンバ風になり、パンとも相性が良さそうであった。"普通に食卓に出されても主菜で通じるようなサラダを作れ"というミッション・インポッシブル(無理難題)は今回も達成されたという訳である。
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