ピザチキン


「飲み会、というかホームパーティー。」

納豆の頻度が朝食だけになった頃に、突然に奏恵が愚痴ったと思えばこんな話である。嫌そうに言うという事は、会社の女性関係の事だろう。


"~~して気を遣わなければいけない"とかいう暗黙のルールを必要ない所にまで持ってきてしまうのが女性同士の関係として面倒くさいものだなと、(奏恵から観て)呑気に構えている義彦であるが、当事者の奏恵はそれ以上に"面倒くさい!"と思っている事だろうに。


変なルールや、昔のインドから間違えて輸入してきてしまったカースト制みたいなものが出来てしまうから、社会における女のコミュニティというのは面倒なのだと奏恵は思っている。無駄に歳を食ってしまって頭の中まで腐りかけているボス社員が消えでもしたら一気に負担は消えるのだ。



「相談してくるって事は、大方何か作れとでも言われてきたんだろう?」

「そうそう、私には主菜になるような一品をなんて無茶を言うのよ、あの年増は。」


(口が悪いな…、余程面倒があったのだろう。)


年増のボス社員の無茶にも応えられる、そんな一品が義彦のアイデアにもある訳であった。本日はそれを紹介していきたい。


__________


*ピザチキン


材料(2人前):

鶏もも肉…150g

とろけるチーズ…2つかみ~4つかみ

卵…2個

薄力粉…適量

トマト…2個

玉ねぎ…1個

人参…1個

合いびき肉…200g

ケチャップ…80g

お好みソース…20g

塩コショウ…小さじ2杯

バター…20g

薄力粉…20g

サラダ油…大さじ8杯


※作成の都合上、薄力粉を2つに分けてます。


道具:

フライパン2つ

包丁とまな板

木べら

ボウルとかバット

__________



「ミートソース作るの?」

「そりゃあ、ピザ風というかまあそんな感じにするんだけど。」


手間がかかる事はご理解いただきたい、と思う義彦ではあった。




「…あのオバサンも、手作りで全部やれば文句言わないでしょ」

どうであれ、解決するのであれば良かったと思う。



__________


作り方:

(鶏肉ルート)

①鶏肉に包丁で切れ込みを入れ、チーズを詰める。

②撹拌した卵を①の表面にまぶし、更に薄力粉をまぶす。

③フライパンに油をひき②を揚げ焼きにし、竹串で難なく貫通するぐらいまで火が通っていれば完成。


(ミートソース)

①熱したフライパンでバターを溶かし、みじん切りにした人参と玉ねぎを投入。

②トマトを切って入れ、どろどろになるまで炒め混ぜていく。

③どろどろになったら薄力粉を少しずつ混ぜていってください(この時、ダマを作らないように)。

④ケチャップ、ソース、塩コショウを投入し、とろみが出るまで火を通せば完成。


後は、鶏肉ルートの完成品にミートソースをかければ完成です。

お好みでもう一段階チーズをかけてオーブンで焼いてもいけますよ。


__________



「中からチーズっていうのもアリね。」


"チーズが切れ目から垂れてこないの?"と奏恵は質問したが、この料理については問題ないという事をそれとなく義彦は説明する。


「チキン南蛮風の衣を作ってるし、大丈夫だよ。」



黙々と奏恵が食べているという事は、"美味しい"という反応である。



「中にチーズ入れるだけでも、豪華に感じるわね。でも作り方が私みたいなヘタッピでも分かるっていうのは義彦らしいわ。」



褒めているのかそうでないのか…

そんな事を笑いながら、ホームパーティーとやらでピザチキンが活躍するのを密かに義彦は祈っていたのである。



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