お茶漬け焼きそば(応用編)
自分は料理をせず他人に料理を任せ、あまつさえ感謝の気持ちを忘れて文句を言うそんな輩に伝えたいのは、"家庭料理はいかに楽をして美味しく作れるか"なのだと。文句を言う人間は、"切ってある野菜パックや袋入りの中華麺を使った方が実は手間もコストも省ける"という事実を知らないのだ!
…そりゃあ、手間をかけるのが料理かもしれないが"いかに簡単に美味しく安く作るか"といったやり方で複数の人と料理を楽しく簡単に喜びを共有しあえる事が大事なんですよ。
…という事を上司に対して思っていたのである。
義彦は(酔いも重なって)激怒した。かの邪知暴虐の亭主である上司を打ち滅ぼさねばならぬと。自分は料理をしないのに、飲み会の場で妻の料理に文句を言うのは何事か!と。勿論の事、今回もしめのリゾットを食べる機会を逃し酔ったふりをして帰ってきたのである。こらえ性のない男にも見えるが、自分の機嫌が悪い時に、他人に悪影響を与えないよう離れるのもまた義彦の処世術なのだ。
「また、しめが食べられなかったみたいね。」
「ああ。」
奏恵は、笑みを浮かべてリビングにやってきた義彦の不貞腐れた様子を見ていた。
「作ってみたのよ。ご飯に乗っけて食べる?」
先程作った"お茶出汁野菜炒め"を奏恵は近くにあったお茶碗によそった白いご飯の上に少し乗せて、食卓に置いた。
その時の、義彦の気持ちは分からない。
ただ、自分に微笑んだ奏恵が愛おしくて、彼女を鍛えた腕で強く抱きしめていた事は、酔いからさめても覚えているだろう。
「私は冷めないけど、ご飯は冷めちゃうわよ?」
変な事を口走ったと思った奏恵は、義彦が翌朝にこの事を忘れているのに期待した。…ともあれ、心の声は届いたのだ。
早速、義彦は先のご飯を頂く事にした。
しんなりとした野菜の食感に塩味が絡み、ほんの少しお茶の苦みがアクセントとなっている。義彦はお茶漬けの素を使った事を瞬時に悟った。
「美味しいよ。」
「…ありがとう。」
感想を言わない関係も暫く続いている。ちゃんとお互いに"美味しい"と"ありがとう"を言えるようにしようと、夫婦は考えた。
「ところでなんだけど、このお茶漬けの素は他に使い方無いの?」
「これで焼きそばはできる。」
「え、何々?聞きたい!」
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*茶気そば
材料(2人分):
野菜パック(人参、ニラ、もやし入り)…1袋(200~300g)
中華麺(蒸し)…2玉
豚ロース細切れ…150g
お茶漬けの素…2袋
追いがつお…小さじ1杯
水…大さじ2杯
みりん…小さじ1杯
道具:
フライパン
ざる
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「あと、"茶ーハン"と言うのもある。」
「焼きそばの方を今回聞きたい。2つは同時に覚えられないかも。」
「では、作り方を教えて進ぜよう」
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作り方:
①中華麺は流水でほぐし、ざるに入れ水気を切っておきながら作業。
②フライパンに油をひき、野菜パックを入れ中火でしんなりするまで炒めます。
③豚肉を入れて強火にし、肉の赤身が消えるまで炒める。
④中華麺、お茶漬けの素、追いがつお、水、みりんを入れ炒めて完成。
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「和風というか、中華というか…。"わびさび中華"って感じね。」
「ああ。これもまたお茶漬けが合うというか、結構色々使えるんだよな。」
そうそう、と義彦は冷凍庫を漁り始める。
「で、デザートは抹茶アイス以外がいい。」
お茶のデザートをお茶という訳にもいかないようだ。意外にも義彦は酔っておらず、しめがなく帰ってきた時に奏恵の気遣いで感極まっただけなのかもしれず…。
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(おまけ)
*茶ーハン
材料(2人分):
ご飯…茶碗2杯強
お茶漬けの素…2袋
中華だし…小さじ3杯
追いがつお…小さじ1
水…小さじ2
卵…2個
※お茶漬けは梅推奨
道具:
フライパン
作り方:
①フライパンに油をひき、卵を炒める。
②ご飯、中華だし、お茶漬けの素、追いがつお、水を加えて炒め、水気が飛ぶまで炒めたら完成。
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