お茶漬け野菜炒め
義彦、不在。
公務員と言う者は、"定時が来れば何事も無かったようにさっさと帰ってくる(実際は場所によってまちまち)"生き物だと思ってしまっていた奏恵である。
義彦も実際に、そういう条件だから鬼のように勉学に励み公務員となった訳で、奏恵の想像通りその生き物の定義の御多分に漏れない訳で…
しかし、どんなに極楽のような労働環境でも、死ねば骨の髄までしゃぶってくれそうな悪魔の世界でも平等にある行事に義彦は駆り出されていた。
そう、"飲み会"。
酒がそれなりに好きな奏恵にとって、"他人の飲み会"は羨ましくも苛立つ話題である(奏恵が実は寂しがりなのは伏せておきたい)。今回に限って奏恵が義彦の飲み会に文句を言わないのは、"まずい居酒屋"だからだ。
しかし飲み会などどうでもいいのだ、奏恵の目の先にある問題は、"本日の食事"である。5回に2回ぐらいは奏恵が料理をするが、大体は義彦の真似事である(それか本当に簡単なものしかしない)。
そんな奏恵が1人になるとどうなるのか?
当然、"料理"という課題に苦戦する。節約が大事な時期の中、ほいほいと外食(結構付き合いもあるし自分から行くのは控えたい)に行く訳にもいかず、自炊する事となる。ここで奏恵の第二の壁、"食材不足"に悩まされた。
(あるのは、お茶漬けの素とパックのもやしとニラと人参のやつかー)※野菜パック(人参、ニラ、もやし入り)に関しては"釜炊きビビンバ"の回を参照。
「あえてお茶漬け以外に使ってみれば、いい感じになるかもしれないわね…」
気まぐれで奏恵が思いついた、"お茶漬けの素で野菜を炒める"。これは意外にも美味しい料理ができるモノだったのだ!
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*お茶出汁野菜炒め
材料(2人分):
お茶漬けの素…2袋
野菜パック(人参、ニラ、もやし入り)…1袋(200~300g)
追いがつお…小さじ1杯
水…大さじ2杯
ベーコン…薄切り3枚ぐらい
ごま油…小さじ2杯
※お茶漬けは海苔の設定で考えてレシピを組んでますが、梅茶漬けでも美味しく頂けます。梅茶漬けですると冷めても十分に美味しく頂けますしおつまみ向けです。
道具:
フライパン
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「私にしては上出来なレシピじゃないの?」
私だってたまにはできる女なんだからね?と心で呟く奏恵、その声を届けたい相手は今頃職場の人たちと酒を飲んでいてそんな声が聞こえる余地もないだろう。
ここで奏恵は1つ思い出す。
"前回の飲み会で、義彦がしめの雑炊を食べ損ねたために機嫌を悪くし、酔いつぶれたフリをして1次会で帰ってきた"のだ。もしかしたらそういう事がまたあるかもしれないと思い、奏恵は余分に作る事を考える。
それで、心の声は届くのだろう…。
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作り方:
①フライパンに油をひき、野菜パックを入れ中火でしんなりするまで炒めます。
②お茶漬けの素、追いがつお、水を入れ少し混ぜた後、手でちぎったベーコンを入れて強火にし、水気が飛ぶ(完全に飛ばさず汁っ気が少し残る程度)まで炒めて完成。
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「我ながら美味しいわね、しかも簡単だし。」
自画自賛の奏恵は、記念に自分の料理を写真に撮って、実家の母に送る事にした。
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