アーモンド和風パスタ

年が明けた。


そして、年号が変わった。


ちなみに、行きたいと思っている地元の美術館は、紅白歌合戦の中継に出てしまったために未だ満員御礼となっていて、アートを楽しむ事はまだ先の話である。



「それでも、料理は楽しめるでしょう?」

座布団に座って、美術館のパンフレットを読んでいた義彦を足蹴にしたのは、ソファーに座っていた妻の奏恵であった。春が来てまだ肌寒い時があっても30デニールにまで薄められた黒タイツの感触は、服の上からでは分からない。


「"人の作った料理を"食べるのが楽しいんだろ?」

「最近は私も作ってるじゃない。」


元々が壊滅的にできなかった訳であるが、それでも作ってもらえる事は有難く、成長していっている事には凄く感謝している。


「さて、昨日は私が作ったから今日は義彦が作ってよ?」


この社会で順番というものは大事なものである。むしろ"秩序ある順番"こそが社会の何たらを形作っているのだ。


「今日はパスタで。」


リクエストのオマケ付きではある。


「ちなみに、パスタの素は使わないでね。」


何てこった。ここに来て"手作りを強要"されるのであった。この話のコンセプトが"創作料理"であるので、鍋の素を使われては話が成り立たない。


渋々、冷蔵庫を漁る義彦。



"アーモンドミルク"


最近、奏恵がハマっているものらしい…。


そして冷蔵庫ではなく、棚に置いてあったアイテムもまた万能なのである。


"粉だし"

鍋以外の使い道もあるが、これはまた別の機会に。



__________


*アーモンド和風パスタ


材料(2人前):

パスタ…2束

アーモンドミルク…300ml

バター…20g

薄力粉…20g

粉だし…大さじ3杯

コンソメ…小さじ1杯

塩…2つまみ

玉ねぎ…1個

えのき…1株

舞茸…1株

小エビ…1掴み

ホタテ…1掴み

青ねぎ…適量



道具:

フライパン

包丁

まな板

耐熱容器

レンジ

__________



「バター、多くない?大丈夫なの?」

確かに、今までの料理であればここまでバターを使う事は無かった訳で、今回になって20gもバターを使うというのは驚きの話である。


「美味しいホワイトソースを作る比率が、バター:薄力粉:牛乳=1:1:15なんで、合わせてみたんだ。アーモンドの香ばしさもあるけど、和風だしとは上手く合うよ。」


あっそう、と奏恵は答えた。

多分、さほど理解が追い付いていない感じの回答ではあるが、徐々に追いつくのである。奏恵は割とそんなところがある。


__________


作り方:


①パスタを指定の時間茹でる。

②その間に玉ねぎを切り、えのきや舞茸をもいで耐熱容器に入れレンジへ。魚介類はまた別途に耐熱容器に入れレンジへ。チンして下さい。

③フライパンでバターを溶かし、薄力粉を入れ、茶色く色づく程度まで炒める。

④薄力粉が茶色く色づいてきたら、アーモンドミルクを少しずつ入れながら混ぜ、小麦粉がダマにならないように混ぜていく。塩、コンソメ、粉だしも忘れずに。

⑤混ぜ合わさったら、②で熱の通った具材達をぶっこんでよく混ぜ、茹で上がったパスタに盛り付け、青ネギをのっけて完成!


※意外と具は鶏肉でもいけます。魚介類なのは作者の気分です。

__________



「結構、アーモンドミルクって色んな料理に使えるのよね。これを生地に混ぜ込んでパンとかケーキ焼いてもいけそう…」


奏恵はよく喋るが、食事中は義彦の口数は少ない。

妻が嫌いではなく、元々食事中には喋らないのだ。


食べてみると、アーモンドミルク特有の香ばしまろやかさと、塩、だしがマッチしている。ナッツ系が好きな人にはお勧めかもしれない。


「七味入れてみても美味しいわよ、コレ。"柿ピーがパスタになった感じ"で。」

香ばしさには、意外とスパイス系が合う。



意外と使える、ミルク系のものである。




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