真・納豆焼きそば
「日本の朝は、納豆に限るわね」
そんな当たり前の事をさも誇らしく言いながら、奏恵は納豆をかき混ぜていた。
勿論の事、パックの納豆である。マンションの一室で手作りで納豆など作ろうものなら長期間仕事を休まなければならない程の事態になるであろう。
そんな事よりも、日本の朝は納豆である。
白ご飯(ぼちぼち雑穀ご飯)に納豆、味噌汁あとお新香でもあれば、十分に贅沢な食卓なのだ。これに納豆が無ければ食事の質が下がるというくらい、納豆の存在価値は大きい。
言葉にする奏恵とは対照に、納豆のありがたさを黙々と噛みしめる義彦。
何故、これほどまでに美味しいのか?
「お昼も納豆がいい。」
何を言っているのだこの女は?という顔で義彦は奏恵を見たが、彼女の様子からして普通に思った事を言っている。
しかしここからが"言葉の裏"に潜む本質で、"朝も昼も同じような納豆の食べ方をしたいのか?"と言えば答えは"ノー"で、炊き立ての白いご飯を差し出せば不機嫌な奏恵をもれなく拝む事ができるだろう。
さてどうしたものか?
冷蔵庫には、卵と納豆パック、あとそれなりの調味料しかない。
しかし、別の場所に"万能アイテム"を発見した義彦であった。
__________
*真・納豆焼きそば
材料(2人前):
サリ麺…2玉
水…400ml
ごま油…小さじ2杯+大さじ2杯
すき焼きのたれ…大さじ1杯
お好みソース…大さじ2杯
粉だし…小さじ2杯
みりん…小さじ1杯
豚バラ…100g
キャベツ…1/4玉
人参…1/2本
納豆…2パック
天かす…お好みで
青ネギ…お好みで
道具:
フライパン
鍋(フライパンで代用可)
ザル
※サリ麺は、袋入りの乾麺がお勧めです。無ければ他の麺で代用可。
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「サリ麺なんか出して、汁物でもするの?」
流石に、納豆で何かをしてくれるとは思うが汁物と結びつける事は出来ず、義彦の思惑を疑って仕方ない奏恵であった。
サリ麺(韓国の中華麺みたいなやつ)なんて、鍋の〆に使ったぐらいなのだ。
「焼く」
「へ?」
「焼く」
「焼く?」
不毛な会話を、奏恵は飲み込んだ。
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作り方:
①水を鍋(もしくはフライパン)に入れ沸騰させ、サリ麺を3分間ほぐす。
②をザルに入れ、よく水を切った後、フライパンにごま油小さじ2杯分をひき、すき焼きのたれ、お好みソース、みりん、粉だしを入れ水気が飛ぶまで炒める。
③フライパンにごま油大さじ2杯分を入れて、一口サイズに切った野菜とよく絡ませた後、暫く強火で炒めた後、肉を入れて中火で短時間で炒める。
④出来上がった③を②に絡ませ、盛り付けた後、かき混ぜた納豆を中心に落としたら出来上がり!
※たれの水分はできるだけ飛ばしてください(納豆が麺に絡みやすいので)。
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「野菜を焼く時に、何で最初に油を絡めたのよ?」
「"油通し"って言って、これをやっておくと野菜の風味とシャキシャキ感が逃げないんだよ。」
"確かに。シャキシャキしてた方が食感が色々楽しめていい感じね。"
奏恵は、かき混ぜた納豆を焼きそばの上に乗せ、麺と絡めてすすっていた。
「………ソースは、納豆に合わせたんだ。」
今回の焼きそばについても、奏恵は納得していたようだった。
…しかし、夫婦であるからか、それとも女の勘か?奏恵は義彦の引き出しを探ろうと艶やかな視線を義彦に向けていた。
(まだ、納豆で何かできるんでしょう?)
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