明石風炊き込みご飯
「…で、行ってきたんだって、神戸。」
恐らく土産で貰ったのだろう、モロゾフのプリンの味がする(という)クッキーサンドを口にしながら奏恵は文句を垂れていた。
…義彦が出不精な事については重々承知しているようではあるのだが、今回はその事ではなく、奏恵の実母(義彦で言うと義理の母)が神戸に行ってスイーツの話をするのにも関わらず、大々的に予告をされた土産が思ったよりしょぼかったらしい。
貰えるならいいじゃないか、と思うのだが、"プリン"と言われながら実はその味がするクッキーだったというのも悲しい話で、その辺は奏恵に同情していた。
「南京町で北京ダック食べて、ハーバーランドでステーキ食べて…おまけにプリンも。豪勢な旅だったんだろうな…」
どこかのグラビアアイドルが夫婦で神戸に観光に来ていたそうだが、それはまた別の話である。
(…美味しいけど、やっぱりプリンは本物に限るな)
奏恵は小さい時にだけ神戸に行ったから覚えていないそうだが、義彦は数年前に友人と神戸に行ってきたのでよく覚えている。その時は神戸から少し離れたコストコで、パンとプルコギを大量に買ってきて奏恵に喜ばれたのだ。
「…で、何か"神戸っぽい"もの作れないの?」
無茶振りだった。…こういうパターンもあるのかと感心したくなる。
「神戸っぽいのではないけど、明石っぽいのなら。」
「それっぽいものなら何でもいいわ。」
神戸牛のステーキぐらいのレベルを注文されると外食しか手段が無かったが、今回は趣旨を逸れる事無く、手作りで何とかなりそうだ。
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*明石風炊き込みご飯
材料(2合分):
白米…2合
水…350ml
めんつゆ…40ml
粉だし…大さじ3杯
みりん…大さじ3杯
砂糖…大さじ2杯
たけのこ…100g
タコ…200g
枝豆…適量
天かす…適量
道具…
包丁
まな板
炊飯器
※たけのこはスーパーで売られている千切りのものがお勧めです。
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「明石焼き…?何それ?」
「簡単に言えば、だし汁にたこ焼きみたいなのを浮かべて食べるんだ」
「…美味しいの、それ?」
「美味しいと思うよ、特に冬場は。」
知らない奏恵には、どうしてもおでんにたこ焼きが浮かんでいる所しか想像ができなかった…。
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作り方:
①具材はぶつ切りに
②白米を研いで、水及び調味料を炊飯器にセットしてよくかき混ぜる。
③①を上に乗せ、炊飯器のスイッチを押して完成!
④お好みで天かすをトッピング
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誰しもお腹が空いたが調理をするのが億劫、それ以上にカップ麺の湯を沸かしたり冷凍食品をレンジでチンする事すら面倒な時にやった事がある、"ご飯に天かすをかけて食べる"という究極の手抜き料理を思い出していた。
あれが意外にも、塩をかけると美味しいのだ。
無論の事今回は、そんなレベルの話ではない。
タコのしっかりした食感、そしてダシの味、そしてたけのこや枝豆のシャキシャキ感がついてきている。
「最近よく炊き込みご飯するけど、炊くだけだから結構手軽な気がするわね。」
「気がする、じゃなくて楽なんだよ。すぐには食べられないけど。」
炊くから時間はかかるものの、具材の多さでご飯がメインディッシュになる、付け合わせに神経を使わなくて良いのが利点だろう。
「あっそう。ところで、プリン無いの?」
デザートが食べたいらしい…。
たまたま、4個パックのプリンを買ってきていて良かったと思う義彦であった。
やっぱり、神戸と言えばプリンである。
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