釜炊きビビンバ


寒い時期である。


そんな日には、辛いものが欲しくなるのだ。


「…で、先輩の奥さんに"この前、石の器を買ったのー!"って言われたのよ。しかも溶岩石だってさ、何か知らないけど石焼もできるみたいよ。」


ああ、溶岩石か…。と義彦は呟く。


「溶岩石のプレートが、楽天でだいたい7000円ぐらいで買えたぞ?」


あら、結構思ったより安いわ。と奏恵はポロっとこぼした。


「ところで、その"溶岩石"を使うと何かいいことがあるのかしら?」

「遠赤外線を発するみたいだ。」

「その遠赤外線があるといい事がありそうね?」

「食材が内部から温まるそうだ。富士山の溶岩石で野菜や肉を焼いても、水分が逃げないから美味しい、という話もある。」


「なんと贅沢な…」


「贅沢はたまにするからいいのだ。そういつもいつもやってると贅沢の有難味が分からなくなるだろう?」


奏恵は、納得いったように笑みを浮かべた。


義彦の肩に手が置かれ、耳元に奏恵の口がある気配がする。


「今晩、好きにしていいわよ?」

囁くように聞こえたその言葉に、義彦は"今日はニンニクを多めに入れてみるか"と思ってしまったのであった。


こんな寒い日に、沸騰してしまいそうであった。


___________


*釜炊きビビンバ

材料(2合分):

米…2合

山菜…200g(2掴み大)

野菜パック(人参、ニラ、もやし入り)…1袋(200~300g)

牛肉…250g

料理酒…大さじ2杯

醤油…大さじ2杯

砂糖…小さじ2杯

中華だし…小さじ3杯

すりおろししょうが…小さじ2杯

七味唐辛子…2振り

豆板醤…大さじ3杯、小さじ1杯


道具:

炊飯器


___________


「韓国料理なのに、豆板醤を使うのはどうなの?」

「創作料理だからだ。別にビビンバに中華料理の調味料を使っても問題はないだろう。…まあ、カロリーの問題だけど。」


豆板醤は100gあたり60kcal、コチュジャンは100gあたり250kcal。それ以外にも義彦個人の好みもあった。大豆製品に何故か心惹かれてしまうのだ。


「野菜パックは便利よね。高くても150円ぐらいだし。」

「ああ。ちなみに今回のは、もやしと人参とニラが最低入ってればいいかな。なければもやしだけでも。どのみち調味料で赤色は入るし。」


___________


作り方:

①米を研ぎ水をセット(2合の線よりほんの少し下ぐらいに水を調整)。料理酒、砂糖、醤油、中華だし、すりおろししょうがを混ぜ合わせます。

②山菜、野菜パック、牛肉の順に敷き、炊飯器の蓋を閉めて"炊飯"ボタンを押します。

③炊けたら七味、豆板醤を入れ全体を混ぜ合わせて完成です!(炊飯前に豆板醤を入れてしまうとご飯の味にばらつきが出るので炊飯後推奨です)

___________



「楽でいいわね。」


今回も、奏恵が満足そうで義彦も満足した。


「野菜パックは楽だしな。切る手間も省けるし、普通に野菜余らすよりも便利で、安い。よく考えたものだ。」


食べる時だけは、義彦も話す事を話す。


「…それに、"贅沢"はしなくても"楽"をするために"工夫"できるしな。それはただ楽をするじゃないからいいだろう?」

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