ホワイト南蛮
「たまには、創作って感じの料理をしない訳?」
この小説(?)29話目にして、こういう不満が奏恵から出てくるのは義彦も考えてはいなかった。一応、"創作料理"として紹介しているがそんな事を言われては悲しくなってしまうのは、義彦が感情を持った人間だからである。
(今までのは創作料理ではなかったのか…)
「もうちょっと普通な感じなのを出して欲しいのよ」
奇をてらいすぎと言いたいのだろうか、ここまで好き放題レシピを公開しておいて、29話目になってそんな事を言われても困る義彦であった。
貧乏くさい、と言われている事は無いと思うが家庭料理なのでその辺の豪勢なホテルディナーに並ぶような料理がその辺の食卓でできてしまえば商売あがったりである。
それでも料理を作らなければ話が進まないため、義彦は奏恵の好きなチキン系の料理を作る事にしたのであった。
__________
*ホワイト南蛮
材料(2人分):
鶏もも肉…300g
小麦粉…適量、あと大さじ1杯
卵…2個
豆乳…200ml
ポン酢…大さじ4杯
砂糖…大さじ2杯
ごま油…大さじ5杯
道具:
フライパン
とりあえず器2つ
__________
今回は、由々しき事態であった。
何と、何の料理をしているのか奏恵が巡視しに来たのである。
…が、これは義彦の方が上手であった。
鶏もも肉、揚げ物の好きな奏恵は満足して去っていったのであった。
__________
作り方:
①鶏もも肉を適度な大きさに切り、溶いた卵に浸した後、小麦粉をまぶす
②フライパンに油をひき、きつね色になるまで揚げる
③ポン酢と砂糖を混ぜたものに、②を浸しておく
④豆乳、小麦粉大さじ1杯をフライパンに入れ、小麦粉が溶けて全体にとろみが出るまで混ぜ、③にかけたら終了
※付け合わせはブロッコリーがおすすめです。なんたって色合い。
__________
「甘酢と、ホワイトソースのまろやか感って意外と合うのね。」
奏恵の表情は、義彦が要望に合った料理を提供できたという事である。
タルタルソースのように、小さく刻まれた玉ねぎが揚げた鶏肉の食感を邪魔してしまう事も無い。そして酸っぱさと酸っぱさがダブルブッキングする事も無い。
豆乳ホワイトソースであれば、揚げた鶏肉の食感を保ちつつ、チキン南蛮本来の甘酢の味をまろやかさで引き立てる事もできる。これは大きなメリットだろう。
そういえば、29回目だった。
そろそろ魚、と思っても記念に好きな肉が食べたかったのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます