ほうじ茶プリン
"基本のお菓子"
細くて長い脚を組んで、優雅に奏恵が読んでいたのはそんなタイトルの本だった。
年齢は30を少しずらしたぐらいなのだが、女性の中では美人な方だと義彦は思ってはいる。…しかし、本題は其処ではない。
本をぱたっと閉めた奏恵。
「何が基本のお菓子よ。」
沸騰しているようだ。
「ハンドミキサーが普通の2人暮らしの家庭に普通にある訳ないでしょう、あとケーキの型だってうちには無いわよ。」
あって貰い物の、焼酎とか日本酒の熱燗を入れる陶器である。200mlぐらいは入るサイズで、中々に見栄えはいい。
…しかし、1度ハイボールを入れて飲んでみたけど絵面が良くなかった。
奏恵の不満というのは、"道具が無いものをどうしろと言うんだ!"的なものだろう。この手の怒りは揮発性が高いので、熱を加えてしばらくすれば蒸発してどこかに行ってしまうタイプのものである。
そんな怒りをすれば、そのアフターケアを義彦がする事になり、デザートを何か作るという話になるのだ。そしてお約束、そんな事態にも対処できる創作料理はあるのだ。
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*ほうじ茶プリン
材料(2人分):
牛乳…400ml
砂糖…24g
ほうじ茶…25g(ティーパックであれば4個分)
ゼラチン…10g
※ほうじ茶は茶葉がお勧めです(理由は後述します)
※ゼラチンは粉上もありますが、分量を細かく使いやすいので板状のものをお勧めします。
道具:
鍋
茶こし(場合によっては)
コップとか液体を入れるもの
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「何よ、簡単にできるじゃない。」
「そろそろ、趣旨を理解してもらいたいんだが」
「更新が遅いから忘れてたわ。」
「そんな事を言っちゃいけないさ」
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作り方:
①牛乳を鍋で温め、沸騰したら中火か弱火にし、ほうじ茶(茶葉またはティーパック)を入れて煮出しします(この時、火が強すぎると牛乳が泡立って吹きこぼれが起こるので気を付けてください)。
②お茶の味が濃く出るまで煮出ししたら茶葉(またはティーパック)を茶こしで取り出し、砂糖とゼラチンを入れよくかき混ぜます。
③粗熱を取り、入れ物に②を注いで冷蔵庫で一晩すれば完成です。尚、作ってから48時間以内に食べて下さい。
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ほうじ茶についてだが、義彦は
「茶葉の小さいのが残ってると、見栄えがいいわね。」
これが、茶葉を推奨する理由でもある。茶こしで大きな茶葉は取り除けても、粉レベルの小さいのは取り除けない。しかし、これが見た目に良い効果をもたらすのだ。
「で、味の方はどうなのよ?」
「ほうじ茶の香ばしさと苦み、それが牛乳と砂糖でまろやかになって"和風ミルクティー"と言えばいいのかな、そんな感じ。」
「甘すぎないのもいいわね。今度作ってみようかしら、簡単そうだし。」
食べられるまでには時間がかかるが、じっと我慢の子で待っている奏恵が、完成したプリンに喜ぶ表情が、義彦には楽しみで仕方なかった。
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