もやしカルボナーラ
人生には、それなりにどうもならない事がある。
その1つに、"夫の出張"があった。地方公務員に県外に泊まりの出張があるのかどうかは分からないのだが、実際に義彦が言っているからそうなのだろう。
これで浮気、レベルアップして不倫でもしていれば義彦を処刑しなければならない。のだが、今の所朝の話であれば夜の話でも夫婦関係に"ヒビ"が入っていると思うような要素が見当たらない奏恵は、1つまみ程"ごめんなさい"と思いながら義彦の不貞の匂いを否定した。
(泊りの出張で1人なんて、何をすればいいか分かったモンじゃないわ)
週に何回かは奏恵も台所に立っているものの、誰が立とうと作る料理は"義彦が作った"品目なのだ。どこもかしこも、奏恵自身も義彦の痕跡だらけである。
しかし、近いようでも他人である。
それ以外の何もない寂しさが、1人でいるリビングにはあるんだと。いつか聴いた事のあるような事がふと頭に浮かんでいた。
__________
*もやしカルボナーラ
材料(2人前):
もやしミックス…200g(1袋分)
豆乳…100cc
チーズ…適量
ベーコン…適量
サラダ油…大さじ2杯
道具:
フライパン
包丁、まな板
※もやし単品でも可。
※個人的には厚切りベーコンの方がおすすめです。
__________
(厚切りのベーコンを買っておいて良かったわ)
満足しているとは言え、日々を過ごすのは厚さで言えば"薄切り"なものでたまには"厚切り"な日も過ごしてみたいと思うのはどちらかと言えば女性に多い。…これを男性が高らかに宣言している場合は、その彼の人間的な部分を注意深く観る必要があるとは思うのだがこれはまた別の人が料理してくれる話なのだろう。
義彦の作った料理であれば、奏恵はいくつか作る事ができる。
それは奏恵が、料理という形で家事をこなしているという何よりの証左であるのだろう。更に言えばどういう事なのか?と言われれば、"こなしている"という事は経験値を積んでレベルアップはしているという事と言っていい。
レベルアップをするとどうなのか?
大体の人は、"新しい技を覚える"だろう。それが普遍的な技であれば、固有の技である場合もある。どこかで似ている所はあるが、今回は後者と言っていい。
__________
作り方:
①厚切りベーコンであれば短冊切りにしておく。
②フライパンにもやしを投入し、油を全体に満遍なくひいてもやしとよく絡ませ炒める。
③ある程度火が通ったら切ったベーコンを投入し、更に炒める。
④もやしの硬さがある程度無くなってきたら豆乳を注ぎ、沸騰するまでよくかき混ぜる。
⑤沸騰したらチーズを投入し、溶けてきたら盛り付けて完了!
※お好みでケチャップをかけても美味しく頂けます。
__________
(面倒な日はこれでいいわね)
もやしもよく使うアイテムで、カルボナーラ的なのも一度やった気がするのであるが、上手い事その間をつついた奏恵の今作は紛れもなくオリジナルであった。
悩みを解決する創作料理を一番食べてきた奏恵は、いつの間にか自分である程度解決するだけの料理スキルを身に着けているようだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます