頭上で回るは観覧車
「おや」
モクはまた風の通り道に置かれた『呼び子』の不調に気付いた。しゃがんで顔を近付けると、回ってはいるが微かにカタコトと妙な音を立てて上下振動している。上半分の、玉を包む骨のような形の回転をそっと止めて、手でばらせる範囲でばらして部品をよく見ていく。すると木歯車の回転軸が受け皿の中で木目の形に欠けているのが分かった。
「俺と違って働き者だからなぁ」
石段を登り切ったところにある呼び子は風に恵まれるせいで摩耗が速い。そのことをモクは知っている。
「代わりを削り出すか、補強するか……よし」
頭の中で小さな木軸の形を思い描く。昼寝を終えたばかりで気力は十分さと、手製の工具を取りに仮小屋に戻った。
――重力鉱石『ゼロライト』の異変が世界地形を根底から変える以前、古来より風と共に在った『竜風域の民』の祖先たちが住まう村にて。
「よし、これで元通りと。また風を呼んでくれよ」
呼び子の修理を終えたモクはふと風を探す。空の方はモクにはまだとても読めないし聞こえない。見上げてから閉じた目を水平に戻すと、今日も溌剌なイザおばさんが赤瓦の家の前で気難しいサゾじいさんと楽しそうに(上手に)話していて、そこで小さな留まり風がくつろいでいるのが分かった。階段の下には誰もいないようだが、いつもならはぐれた渡り風が……
「……ん?」
階段の左右に均等に設けられた呼び子たちが騒ぎ始めた。下から上に、カラコロカラコロと回る音が次第に早くなる。しかし呼び子に備わる『名知らせ』の作る音が渡り風のそれと異なるのだ。モクの視線は幅の広い四十段の石階段を降りてその先に続く土道を睨んだ。
「あれは……神官様か?」
まっすぐこちらに近付いてくる人影がひとつ。目元だけを隠す仮面のような名前の分からない装具、長く伸ばした黒髪、自分たちの衣裳には見られない白く長い丈、神具と思しき腕や腰の金装飾。そして、背筋を伸ばして歩くその姿が放つ静かな威厳。巫女様に仕える神官たちは皆このような雰囲気を纏うとか。ではこの風は神官様に付いてきた風から逃げていく風……? こんな辺鄙な場所に神官が現れる理由がモクには分からないが、思わずここ数日の、否、思い出せる範囲で自分の素行を振り返る。
「大丈夫だ悪いことはしていない」
と呟きつつ、
「おーい、イザさんサゾさん、神官様が」
神官様の目的は自分ではないだろう。イザおばさんの家の裏にでも隠れていようとモクは考えた。
――竜風域の『巫女』は風を呼ぶ力、風と“話す”力を持った民の中でも最上の素質を備えた者が担う。彼らが百を超える風の呼び名を生み出す何千年も前からこの世界に在る竜の声を、数世代に一度だけ巫女は聞くことができるという。
イザの家の陰に隠れていたモクは留まり風がどこかへ逃げてしまったことに気付いた。代わりに神官が連れてきた従い風が、渦を作るようにゆっくりと流れながら辺りに居座っている。屋根の四隅に付いた呼び子もそう告げているようだ。モクは白く塗られた土壁に張り付いて、時々そっと、一瞬だけ覗くようにして神官とイザたちが話している様子に聞き耳を立てていた。風を読むために男性も髪を伸ばすこともある風習のせいで判断が保留となっていたが、声色や体つきから神官が背の高い女性であることをようやく確信できた。イザと話しているときよりもサゾが少し嬉しそうなのはそのせいだろうか。……と、モクの顔色が次第に悪くなる。確かに神官は「モク」と言ったし、
「さっき家の裏手に回ったと思うけれどね。俺が見てこようか?」
「私が行きますよサゾさん」
そう言ってイザがこちらへ向かってくるではないか。
「こら、モク」
「は、はい!」
顔の部分だけ斜めに影が落ちたイザが子を叱るように呼ぶので思わず謝りそうになってしまった。
「何を隠れているのさ」
「いやちょっと裏側の壁に傷んでいるところを見つけてね」
「そりゃ後で教えておくれ。神官様がお前に用があるって」
「……俺に? 本当に?」
「本当さ。早く出ておいで」
覚悟を決めたモクはイザの後をついていく。暗い所にじっとしていたせいで陽の光が一瞬刺すように感じた。神官は女性だ、危ない目には遭わないだろうと高を括る。
「お前がモクか」
「はい……」
目元を隠す装具のせいで神官の素顔は分からないが、凛とした声で発せられる問いについ萎縮してしまう。モクは村の男たちの中でも背の低い方ではないのに、神官はともすればモクよりも少し長身に見える。
(と思ったら、よく見ると独特な造りの木靴のせいもあるか。踵が高くなるようになってい……)
「見ての通り若いくせにひょろひょろして取柄もない男ですよ神官様」
(おいおいサゾじいさん?)
何を思ったかモクの短所を挙げ始めるサゾ。言葉では否定も肯定もしないイザの身振りはあろうことか肩をすくめてやや肯定寄りだ。
「それにこいつは土いじりも嫌いでして」
(おーい……)
「巫女様がお前に用があると仰せられた」
きっぱりと告げる神官の言葉に耳を疑うモク。
「巫女様が……ですか? どうして俺なんかに?」
「理由は私には知らされていない。準備の時間は与えるが、出向けるか?」
「えぇと……はい、すぐに準備してきます!」
断る理由は無いというか、断ったらどうなるか分かったものではない。いわゆる“平凡な”村人である彼らの元に神官が現れることがまず珍しいことで、ましてや“巫女様”の存在など伝承であり象徴であり信仰であり、そう、もはや神域に近いのだ。
顔を洗って、引き出しの奥にしまってあった貰い物の固形植物油で乱れた髪を少し直して、念のため使い慣れた工具袋を腰に提げて、……大慌てで身支度を整えたモクは神官に連れられていく。
= = = = = = = =
「この先の道はなるべく覚えないようにしろ。帰り道はまた案内をつける。足元にだけ注意して黙ってついてこい」
「はい、分かりました……」
村を抜け出たモクは神官の後について山道を登っていく。モクたちの村も含め、竜風域の民は山の麓から山頂付近まで各地に点々と小規模な拠点を構えている。高度差による“採れる物の違い”を恩恵として受けてきたが、何より“現れる風の違い”が彼らにとって重要な意味を持っていた。風と深い関わりのある場所や物は山頂に近いところあるか、設けられていることが多いのだ。普段あまり立ち入らないような岩肌の目立つ高さまで来ると気性の荒い風たちが山肌に沿っていくつも駆けていく。時にモクと神官、そして神官が携えるものを一瞥し確かめるように。
「その靴、歩きにくいんじゃ?」
「履き慣れている。それにこれは礼装の一部だ。……余計なことを話さなくていい」
「こりゃ失礼しました……」
なぜかモクのことが気に入らない様子の神官。確かに彼女の言葉通り靴が枷になっている様子はなく、むしろモクよりもずっと軽快に険しい山道進んでいく。登ったと思ったら下っていく道もあり、既に『境の縄』をいくつか越えてしまったし、そろそろ疲れてきたとモクが思い始めたタイミングで神官が急に立ち止まった。
「どうしました?」
振り返った神官は「水だ」と一言。腰の後ろに二つ身に着けていた小さな竹製の水筒を一つモクに差し出した。
「おぉ。ありがとうございます」
神官が窪んだ形の岩を指差したのでモクはそこに腰掛けて水を飲んだ。岸壁を背に青い空と緑と灰色の混じる山々を眺めながら、冷たく染み渡る感覚に一息つく。神官も自分の竹水筒から一口だけ水を飲むのをモクはそっと見ていた。
「間もなく着く」
着くってどこへ、と大きくせり出した巨岩の下に差し掛かったモクは言いかけて口を噤む。言われた通り村の位置や現在地を考えないようにしていたせいでここがどの辺りなのか本当に分からない状態だ。休憩を終え、大岩の下をくぐるようにして狭い岩道を進んでいくと、少し先が崖になっているのが分かった。
「へぇ……ほぉ」
思わず神官の前に駆け出たモク。崖の下に広がる光景に驚き、高揚していた。
「あんなところに大きな村があったのか」
家の数、建物の様式、田畑の形、簡易水路まで、規模が大きいだけではなく生活水準が高いことが窺える。
「目的地はあの村ですね」
「いや、あっちだ」
「へ?」
今度は斜め上の方を指差した神官。しゃがんで村を見下ろしていたモクは振り返るようにしてその方角を見上げた。
「な……」
そして、一瞬言葉を失ってしまった。てっぺんから根元まで少しでも全体を視界にいれようと思わず立ち上がる。
ともかく途轍もなく、モクの知る一番大きな家よりも大きい。この距離からでもそれが分かる。あれが回るのだろうか、巨大な車輪のような、見たこともない建造物が岩盤の上に鎮座している。水車に似た骨組みの目立つ構造をしているが、何やら籠のようなものが車輪の外縁に“吊り下げられている”。それも一人か二人は入れそうな、大きな籠が。あれは一体何で、誰があんなものを造れるというのか。それもこんな……山の上に。
「あれは……何です?」
「観覧車という“祭場”だ」
場と、神官は言った。装置ではなく? 観覧とは見ることか? 誰が、何を? 疑問だらけでほとんど何も飲み込めない顔のモクに神官は後で説明すると言って、
「モク、お前は風を呼べるか」
不意にモクの“素質と技術”を確かめた。
「いえ……」
残念ながらモクのそれは凡人の域だ。
「そうか。では観覧車の一番高い位置に釣られている籠のあたりを見ながらじっとしていろ」
モクが頷くと神官は自分もその籠のあたり、別れ峰の大岩盤を睨んだ。そして両腕を優美に、鳥がゆっくりと翼を広げるように広げた。
気配がする。音、肌をなぞる感触。モクの周りで風が渦巻いた。昔一度だけ小さな渦風の中に入ったことがある、その時の感覚と同じだ。だがこの風は神官が呼んだ風、そして、
――巫女に仕える神官たちも風を呼び、風を従え、風と話してみせるという。巫女には及ばないまでも、風と共に在ろうとする竜風域の民たちにとってその姿は神々しく映る。
神官が従える風。
ゴウ、と音を立てて突風が走った。背中からの強い風圧にモクの脚が思わず踏ん張る、草葉を巻き込まずとも風の駆けていく方向がモクにも鮮明に感じ取れる。まっすぐに、二人が見ている観覧車の頂点の籠を目指して。
「……すごい」
遠退いていく風の音と気配、清々しい余韻。村一番の“風使い”を名乗るカナツでもこんな風を、ここまで自由に従えられない。
「あの籠に巫女様がおられる」
「え?」
「巫女様にお前を連れてきたことを報告した」
「えぇ!?」
「いちいち騒がなくていい。すぐに巫女様が返事をくれるはずだ。もう少し力を抜いてそのまま立っていろ」
神官の指示に従おうにもモクは興奮が冷めない。これは紛れもない“風の交感”だ。風との、であり、風を媒介に遠くの相手とのでもある。後者は特別で、もしそんなことが本当に行われるなら、昔読んだ書物の伝説そのものではないか。それからあの籠に巫女様が? モクは目を細めるが、いくらモクでも離れたこの位置から籠の中までは見えない。じっとしているのが辛くなってきたとモクが考えた辺りで、
「来たぞ」
「……!」
風の駆ける音が確かにあの籠の方角から。するとさっきと反対のことが起こるはずだとモクは身構え脚に力を入れた。……ところが、
「……あら?」
柔らかな風が、モクを“包んだ”。それから、気のせいだろうか、微かに花のような甘い香りがして、
――待っています
そう聞こえた。風の声はまだ聞こえないはずのモクに。
「これは……これが、巫女様の風……」
こんなに優しい、個人と話そうとする風には初めて会った。いや、伝わってくるのは音ではなく意思だと聞いたことがある、では風の声ではなく巫女様の……?
「何故お前なのか私には分からないが、歓迎されているようだな。巫女様の見立てならば無礼を詫びよう。済まなかった」
「あ……いえ、いえいえ」
「観覧車の裏手を降りた辺りにここからでは見えない小さな拠点がある。そこでならしっかりとした休憩を取れるはずだ。巫女様に謁見する前にな。もう少し歩くぞ」
モクは嬉しそうな表情を隠せないまま返事をすると軽快な足取りで神官の後に続いた。
= = = = = = = =
観覧車から少し山を降りた位置に、神官の言う通り小さな(とは言っても、例のモクの知る一番大きな家よりも大きな)建物が構えてあった。この建物は交代制で三人ほどの神官と“観覧車を訪れる者たち”が利用する。
「おいモクとやら」
「もご、はい!」
「なんてな、私はサニハだ。シキじゃないよ」
「からかわんでください……」
「ははは」
小部屋でパンと干し肉、それから塩豆のスープをご馳走になっていたモクは神官に見事にからかわれていた。この神官は彼をここに連れてきた神官とは別の女性で、名をサニハという。結局モクに名乗らなった最初の神官はシキという名らしい。礼装故にではあるのだが、二人が同じ仮面のような装具を着けて服装も同じで髪も同じくらいに伸ばしていているせいで、
「見分けがつかないだろー。私の方が少し背が低くて細いんだ。声は少しだけシキを真似したけどな。あー“細い”は取り消そう」
とのことだ。
「食べ終えたら巫女様のところへ行くぞ。あとは飲みかけのスープだけか。私が飲んでやろうか」
「ど、どうぞ」
「冗談だよゆっくり飲んでいいって」
「……」
* * * *
このサニハという神官はこんな調子なので、モクは食事の前に彼女にあれこれ聞いてみていた。まずは彼女たち『神官』について。神官たちが厳かな空気を醸し出すのは「そう言われてみると心掛けてはいる」かららしい。だが、それは主に祭事や儀式などでの佇まいや振る舞いにおいて。語り手でない神官たちは殆ど喋らないせいで、彼女らが少し意識して所作をするだけで村人たちには自ずとそう見えてしまうのだ。
「シキはあれが“素”らしいけどね」
そして、これからモクが立ち入る『観覧車』という装置……ではなく祭場について。観覧車には細かい用途がいくつかと、大きく二つの機能がある。機能の一つ目は“空へ近付くこと”であるという。モクが見た通り、観覧車はその外周部分に等間隔に吊り下げられた籠のような個室を備えている。円の一番下の部分で籠に入り、観覧車全体を回転させることで、籠はゆっくりと空に近付いていく。
「やっぱりあれは回るんですね」
「ああ。一番高いところは本当に高いぞ。村がこんなに小さく見えるんだ」
サニハは豆粒を摘まむように親指と人差し指をほとんどくっつけてモクに見せた。
「……くっついてません?」
「よく分かったな! でもホントなんだって」
「……」
「まあそれはともかく。高さへの恐怖に慣れちゃえば自分がどれだけ空に近いところにいるのか気付くのさ。そうしたら、あの場所は風と触れ合うのに最高の場所になる」
サニハがモクの背中のあたりの壁の向こう、観覧車のある位置に視線を向けた。仮面装具の少々つり目型にくりぬかれた穴から見えるサニハの瞳が“風を見る目”になった。モクにはそれが分かった。
「あれ、私に惚れちゃった?」
「いえ? いえいえそんなことは」
「ふふ」
* * * *
話すのに夢中になったモクがつい手を放したので、木のスプーンは器の縁に背を預けてしまった。
「巫女様もあの場所で風を? 俺……私はどうして呼ばれたんです?」
「私の前では言い直さなくていいって。神官は別に偉くないからさ。んーとね」
観覧車の二つ目の機能、それが巫女が今あの場所にいる理由だ。
「巫女様は竜の風と話すんだ。一年のうちに四回だけ、あの場所で」
「竜の……風」
この山には古来より“竜”が住まう。竜は私たちを見守っている。これがあらゆる種類の風が現れるこの地域に『竜風域』という名が受け継がれてきた理由であり、竜は竜風域の民たちの心に根ざす信仰の対象だ。モクにとってもそれは同じ。だが「竜の風」の方はモクには初耳だった。竜の風とは、その竜そのもののことか。それとも、竜が遣わせる風があるということだろうか。
「ふふん、驚くなよ~。あの観覧車、横向きになるんだぞ」
「へ? 横向き……?」
曰く、その儀式は『竜風告げの儀』と言うらしい。よく村の風道具の手入れをするモクでもあの巨大な装置、否、祭場がそんな大掛かりな仕掛けを持っているとは信じられないが、観覧車は水車を水平に倒したような状態に向きが変えられるというのだ。吊り籠型の個室はそれに合わせて上手く向きを変えることで中が崩れないようになっている。ここで細かい用途の一つを挙げてしまうと、等間隔に六つも吊り下げられていた籠は風を読む“訓練をする”者や、遠くを見張る者にも利用することができる。少し先の気候、長い目で見た穀物への影響、ともすれば山の異変。神官が村人のためにそれを行うことは稀だが、素質と技術のある者が観覧車を用いれば無二の支えとなるのだ。彼らのために籠の中にちょっとした物を置いておけるのは都合がよく、それらが横倒しになった部屋の中で転がってしまったり、例えば小窓から落ちてしまっては都合が悪い。
「信じられないって顔だ。まぁこれから見に行けるものな、見てもらうのが早い」
「信じますよ。それで……その竜風告げの儀というのは?」
「それは、お楽しみ」
サニハが少し得意げな顔になった。目元を隠す装具があっても分かる程度に。
「観覧車のことだけもうちょっと言うとね」
横倒しになった観覧車には大掛かりな仕掛けの他に精巧な仕掛けもある。普段は風を通すように骨組みと平行に隠れているが、骨組みの間を埋めるように頑丈な板が展開できるようになっているのだ。この建物から山道をまた少し登って行ける観覧車の“表側”には、観覧車の中心部まで繋がる階段が用意されている。それはモクがシキと一緒に観覧車の“裏側”を見た時には見えなかったもの。つまり、観覧車は天に現れる巨大な円形の足場となり、その中心へと登って上へと出られる階段がある。
「じゃあもしかして、横倒しになった観覧車は回転できるんですか」
モクの読み通りであれば骨組みの間で垂直になる板を風受けにして、十分に円滑な軸があるならば。
「ああそうさ。造った人はすごいよな」
やはり。風を受け、風に寄り添うようにして向きを変えられる円形の天空舞台。その上で巫女は、竜の風と相対する。これが祭場『観覧車』の二つ目の機能と、竜風告げの儀だ。
「……子供みたいに目がキラキラしてるな」
「早く見たいんです」
「早く飲んじゃいなさい」
「はい!」
あくびをしていた木のスプーンがモクの手に握られる。観覧車の構造、迫力、そして竜の風と触れ合うというまだ見ぬ巫女様のお姿。想像したモクはサニハの言う通り少年の目になっていた。急いで塩豆のスープを平らげると手の甲で口を拭って勢いよく立ち上がる。
「ごちそうさま! 行きましょう!」
「おう。食器は置いたままでいい、こっちだ!」
= = = = = = = =
「あのー、横に倒れる前の観覧車を近くで見たいんですが、構いませんかね? もう倒しちゃいました?」
建物を出る直前にモクは神官サニハにそう聞いた。理由を聞けば目の前でその大きさを感じたいから、そして構造を見たいからだという。観覧車はまだ縦に回っており巫女は天頂の籠にいる。サニハは頷いて建物の奥に戻ると、同じ神官であるシキに確認を取った。二人は風を使って遠くの籠にいる巫女に許可をもらい、それから声を使って“男たち”に指示を出した。
「すみませんそんなに大ごととは……」
「気にするなちょっと時間がズレるだけさ」
観覧車を水平に倒すには実のところ力自慢の男たちの協力が要る。観覧車を回す際にも何人かの人手が掛かっているのだが、こちらに関しては二十人ほども。モクが料理をご馳走になっていた時に気付いた気配がそれで、竜風告げの儀が迫ると近くの村から集められた男たちがあの建物で儀式の時を待っている。
「あ、あとさ、折角だから上には昇りたくないの?」
「え? 俺が籠に乗っていいんですか?」
「いいと思うよ」
「そりゃあ、うーん、しかし……そっちはやめときます。時間取っちゃって申し訳ないですからね」
「巫女様が降りてこなきゃいけないから結局半周分だけなんだけどな。まあいいならいいよ」
そうか巫女様が降りるのに合わせて自分が一番下の籠に乗ればいいのかとモクが気付く頃にはサニハがシキと話し終えていた。今度はシキが建物の奥に戻る。一瞬後悔しかけたモクはもう少し考えてやはりこれで良かったと納得した。もし自分が籠に乗ってしまうと、自分が天頂に昇った時に巫女様は最下部で籠から降りられることになる。つまり、最初に巫女様の姿を見られるかもしれない瞬間に巫女様を見下ろす格好になってしまうからだ。
「礼儀正しいんだな」
「へ?」
「いや、さあ今度こそ行くぞ」
「は、はい!」
* * * *
建物を出たサニハとモクは山道を登り観覧車へと向かう。それなりに道が固められているとは言えやや急勾配な斜面を進み、自分が踏み出すその一歩に合わせて岩肌から観覧車の頂点がゆっくりと姿を見せた時、いつの間にか先導のサニハを追い抜いたモクの興奮は一気に高まった。駆け寄る。青い空に、陰になって映える骨組みの輪郭。天に聳える巨大円の祭場その頂。蛇のように曲がった最後の坂道を走っている間にも円形の上部が少しずつ見えてくる。その迫力が、存在感が、威厳が増していく。
「すごい!」
辿り着いた。
「すごいすごい!」
「待てって、」
「こりゃあすごい!」
「ふぅ、あぁ、うん。すごいだろー」
空を見上げた。そこに在るのは木でも岩でも山でもない。巨大な、水車のような姿をした紛れもない“人が造ったもの”。こんなことは今までに一度もない。こんなものは見たことがない。思わず駆け寄って遂には手を触れた。体躯をがっしりと支える特大の足場、なんという重厚感。木材ももちろん見えるが希少な金属がそこかしこに惜しげもなく使われている。ここまで近付いてようやくそれが分かった。
「……」
急にモクが押し黙って細かく素早く位置取りながら観覧車の色々なところを観察し始めたので、サニハの方が気を使ってそっとしておく始末だ。しばらくするとモクが少年のような目のまま戻って来た。
「サニハさんは観覧車の仕組みを知ってます?」
「うー……まぁ少しは。いつも近くで見てるからな」
「あれはどう動くんです? あの横から見たお椀を更に半分に割ったような、一番大きな軸の部分です」
「えっと、今は軸が曲面から真横に出てるだろ、それがもう少し出っ張って、あの棒が中で軸と繋がってるんだ。で下にこう回ると軸も上に向いて、」
両手を使った一生懸命なサニハのジェスチャー。
「ほう、へえ! 軸にはどうやって力を!?」
「てこの原理とやららしい。向こうに力自慢たちの仕事部屋があるぞ」
「そっちはまた後で、もう少し見てきます!」
「これくらい喜んでくれるなら造った人たちも報われるというか嬉しいだろうな、はは……」
モクの“燥ぎよう”に流石のサニハも戸惑ったところで、
「サニハ」
「お、シキ」
神官シキもこの観覧車へとやってきた。
「モクは……随分と浮かれた様子だな」
「多分過去の誰よりもだよ。巫女様が上から見てるかもしれないぞって言ってやろうかな」
「……名案かもしれない」
「え、冗談だってシキ」
「大丈夫ちょっと落ち着かせてくるだけ」
やれやれという仕草のサニハはモクのことをシキに任せた。彼女なら上手くやってくれると知っている。
「む、でもあいつ最初に私とシキを間違えるかも。……それはそれで面白いな」
――観覧車の向こうには青空に聳える銀色の山々が見えた。空とはまた違う渓谷の糸のような青と白、木々の見せる緑の濃淡、そして小さな小さな人間たちの拠点。この頂も随分な高さだが雄大な山々が他にいくつも。眼下に、否、目の前一杯に広がる竜風域を駆ける風の姿は見えないけれど、今もこうして音が、声が聞こえて、肌に触れていく存在がある。
「あの辺り、草木が揺れているところを見ろ。稲穂を撫でていく時と同じだ。風は誰にでも姿を見せてくれる」
――彼女の言う通りにすると、確かに風が見えた。目を上げて空を見てもまた風の姿が見えたような、そんな気がした。
モクは観覧車を倒す大仕事を自分も手伝うと名乗り出た。あまり力自慢には見えないモクだったが、観覧車に到着した男たちは「大事なのは心掛けだ」とこれを歓迎する。サニハとシキにはモクから“籠から降りてくる巫女様の姿をまだ見たくない、観覧車の上でお目にかかりたい”ともう一つの目的を伝えていた。
所変わって、一名を除いて屈強な男たちの仕事場にて。
「もうすぐシキ様が来られるぞ」
「サニハ様は来ないかな」
「なるほどこんな大きな重しが中に、いや床の下にもっとある。でこれがこうなってこう伝わるのか。それで全員分の手押し棒と綱を、こう、」
「なあ俺腕太くなったよな」
「俺に比べりゃまだまだよ」
「全員聞いてくれ」
「シキ様だ! シキ様~」
「こらボトウ」
「いてっ、へい! あれサニハ様!?」
観覧車が回る。巫女を乗せた籠が地上に戻り、力自慢の男たちが大仕事を始める。掛け声、熱、汗水。この場にいて良かったとモクは腕脚全身に力を込めて木棒を押す。観覧車は天を仰ぐようにゆっくりと傾いていき、そして水平に至る。
こうして、男たちと一緒に仕事部屋の外に出た(よろよろの)モクは、横倒しになった観覧車、祭場のもう一つ姿を目の当たりにした。
「さあ行ってきな」
「あれ……俺一人で行くんです?」
「もちろん。さっき話したろ。……話してないっけ。一人ずつさ。こっから先はね」
半分は聞いた。モクの後にも二人、順に巫女様に謁見する者たちがいる。深呼吸を一つ。サニハとシキに礼を言って、また深呼吸……というより呼吸を整えて、モクは観覧車の台部分に設けられた階段に沿って視線を移動させた。台座の外を足場の形に沿って何度か曲がって中心の回転軸の辺りに繋がっている。最後に短い梯子を登って、蓋のようになっている板を押し上げるように開ければそこは観覧車の上、巫女様の待つ舞台に出られる。最後に、今度こそ深呼吸を一つ。
「肩の力を抜きなって。大丈夫だよ」
「巫女様に歓迎されたのだろう。私もそれは見ていた」
「……はい! 行ってきます!」
二人の神官に頭を下げてモクは階段を上り始める。いざ、巫女様の元へ、竜風告げの義へ。
= = = = = = = =
梯子にしがみついた右手を離してそっと伸ばして、木板の一枚扉に触れた。大きな蝶番のある板の根元の辺りから少し先、手の届くギリギリの場所に『ここを押し込め』と目印が書いてある。
「よっ」
思ったよりもずっと軽い。そのまま押し込むと影になっていた視界に光が差して、四角い青空がゆっくりと大きくなって、「あ」と思う頃には垂直になった木の板が手を放れてパタンと乾いた音が響いた。
「し、失礼します」
風の音だけが微かに聞こえる。巫女様からの返事はまだない。そのまま梯子をもう何段か登って自分の顔だけが舞台の上に出ると、朱色の円形舞台が目の前に広がった。だが舞台の上には青空と風しか乗っていない。ということは……後ろに。唾を飲み込む。
(ん?)
視界の隅に白い小さな、
「ぬわ」
「危ない!」
手か、しかし、
「っと大丈夫、一人で上がります!」
梯子を最後まで登り舞台上の取っ手を掴んで身体を引っ張り上げ、四つん這いになったまま慌てて身体を回して振り返った。そこには、神官と似た格好をした……巫女様が……同じように膝をついてこちらを見ていた。そのままお互いに正座の恰好になってしまう。
「驚かせてごめんなさい」
「いえ、勝手に驚いただけで、」
「その、後ろで黙って待っているのは、と……」
「ありがとうございます」
お顔は仮面のような装具に隠れている。けれども先ほどの手、この絹糸のような声、何より背格好から巫女様がまだ年端も行かぬ少女だと判断が付く。
「では改めて……ようこそお越しくださいました」
「お招きくださり光栄です。えっと……私はモクと申します。あなたが……巫女様ですね?」
「さようです。“様”は恥ずかしいのでどうか……」
少女が顔を伏せる。神官の二人よりもまだ少し短いが彼女たちと同じように伸ばした綺麗な黒髪。その上には二人が身に着けていなかった不思議な装飾の三角帽子。羽の生えた蛇のような金飾りは恐らく竜を模したもので、小さな一対の七色羽が彩る。
「これが気になりますか?」
「あ、いえ」
巫女様はその帽子を取ってそっと俺の前へと置いてしまった。
「どうぞ足を崩してください」
「いえいえ……」
あなたも木板の上に正座のままだというのに。巫女様が随分と腰の低い様子なのでこちらが戸惑ってしまう。それにしても下から見てあれだけ大きく見えた観覧車の上はやはり立派なものだ。真ん中から六角形に、鮮やかな朱色に塗られた板と要所を補強する金属の継ぎ目が美しい模様のように広がっていく。一番外側はここからでは見えないが円になるように加工しているのか気になるところ。ぐるりと景色を見渡すと高い山の頂が僅かに二つ見えるだけで他には空だけ。まさに天上の舞台というに相応しい。
「高いところでしょう。怖くはありませんか」
「大丈夫ですよ。高いところは好きな方でして」
「それは良かった。……あ、そうでした、この羽が何の羽だかご存知でしょうか」
巫女様が可愛らしい指先で帽子に付いた七色の羽を指す。
「えーっと……」
「モクさんは少し前に、白い鳥の雛を助けましたね?」
「……はい」
覚えがある。岩場に生えたカシナダの木の下に落ちていたのを見つけて手当てをした。近くに巣が見つからなかったから、木に目印を付けて一度雛と一緒に家に戻って巣の代わりになる簡単な皿を作った。それを元居た木に括り付けて布切れと当面の餌とを一緒に乗せておいたはず。
「確かに助けました、でも何故それをあなたが」
誰かが見ていたのかもしれないが、誰にも教えていないのだ。
「風が教えてくれました」
「風が……」
モクの背中をくるりと撫でるように風が吹いた。そうだ、一瞬忘れそうになっていた。この少女は。
「あれは星霜鳥という鳥の雛なのです。この七色の羽は星霜鳥の羽です」
本で読んだことがある。星霜鳥は古くから姿を変えず、竜と深く関わり、共に空を往くという七色の羽を持った聖なる鳥。人前に姿を現すことは滅多にないらしくこの目で見たことは……
「あれ? でも羽は真っ白でしたよ」
「ふふ、雛の間は白いのです」
「そりゃあ知らなかった!」
隠れてじっと待っていれば親鳥に会えたかもしれない。つり目型にくりぬかれた装具の下で巫女様の優しそうな瞳が微笑む。
「すると、私がここへ呼ばれたのはその星霜鳥のご利益……でしょうか?」
「ご利益……サニハさんは、あなたがここにいらした理由をあなたに何と説明しましたか?」
「『それは、お楽しみ』って教えてくれませんでした』
「サニハさんらしいですね。星霜鳥のご利益かどうかはともかくとして、これから行う竜風告げの儀はあなたの“善い行い”を竜に伝えるのです。星霜鳥の雛を助けたこともそのうちの一つですよ」
「私の善い行い……りゅ、竜に!?」
まさかこの近くに竜が? よく晴れた空に姿も分からぬ竜の気配を探る。まだ竜と風と、そしてこの巫女様のイメージとが上手く繋がらない。それにこの場にいる自分のことも。
「肩の力を抜いてくださいと、私にも言わせてください。モクさんの村でも銀粉紙を撒きますか?」
「ええとはい、撒きますよ」
銀粉紙とは季節の節目に山の上から撒く粉のように小さく切った銀色の紙のことだ。詳しい作り方は知らないが、村のばあさんたちが「銀嶺花を混ぜて薄く薄く漉いた紙を叩いて伸ばして乾かして作るのさ」と教えてくれた。豊作への願いと竜への感謝を込めた銀粉紙は季節風に乗って空の彼方へと飛んでいく。
「それじゃあ、少し見ていてください。あ、脚は痺れていませんか」
そんなふうに大の大人である俺を気遣って、巫女様はふわりと立ち上がった。振り返って小さな背中をこちらへ向け空を仰ぐ。八の字を作るように両腕を少しだけ身体から広げて、……“風を呼んだ”。そうだ、この少女は、紛れもない竜風域の巫女なのだ。
――風が巫女に告げる。巫女が風に告げる。風と交わるは竜風告げの儀。風と口ずさむは古き竜の唄。
遠く遠く空の向こう、乾いた田に流れ込む水のように、風が降りてくる気配がした。これまでにそんな気配を感じたことはない。ましてやここには風道具が、呼び子の一つだってありはしないのに。
「あれは……銀粉紙の風ですか」
微かな音。そしてこの目に捉えた。銀粉紙を見送るときには皆にも風の姿が見える。その時と同じ、上空でキラキラと反射する光が風の姿を映した。風が纏った銀粉紙が村に戻ってくることはない。きっと空のどこかで少しずつ風から離れて地に還るのだと思っていた。けれどあれは紛れもなく。
「こっちへ降りてくる!」
壁降風のような大きな音、思わず腕を交差させ目を細める。日は天頂から傾いている、少々眩しいが見逃すわけにはいかない。
「……え?」
風が頭上で……そっと速度を緩めた?
「こっちです。モクさん、梯子の蓋を閉めていただけますか。それも安全装置の一つになっていて」
「わ、分かりました!」
言われた通りに木板を跳ね上げてバタンと閉じる。カチリと音が聞こえたようだが後回し、降りてきた銀色の風が……観覧車の縁、円舞台の端へ吹き抜けて、外周をなぞるように回り始めた。巫女様が伸ばした左手を風の頭の辺りに合わせて緩やかに半円を描く。
「この季節風は大陸を旅してきた風です。もうすぐこの山の風が来るって、そう言っています!」
「……はい!」
片足を軸に巫女様が優雅にもう半円を回る。この山の風? 一体それは、
「ぬっ」
向かい風、銀粉紙の風とは別の。一瞬ぐらりと揺れたかと思うと、足元が、観覧車が回転している……? 自分が動いていないのにちょこっと出た山の頭の位置が変わったのだから気のせいではない。
「来ました!」
「おっとっ、うわっ」
身体が前と後ろから強く押し込まれた。これも、風か、まるでちょうどここで暴風同士が衝突したように、
「うぅ」
まだ止まない、こんなふうに吹く風なんて、
――『 』
「……へ?」
励まされた?
「聞こえたのですね! モクさんはよく風道具を直してくれるんだって、この風はそう言っています!」
山の風が音まで豪快なせいで巫女様が声を張る、風圧に押しつぶされそうになって細くなった目と口をどうにか開く。
「せいぜい呼び子くらいですよぉ!」
自分の周りで風が大渦を巻いた。思わず足を取られて半回転、へしゃりと尻もちをついた頃には、
「ありがとう、って!」
山の風は……あっという間に何処かへ飛び去ってしまった。
「……」
言葉にならない。
「聞こえました……俺にも聞こえた気がするんです、風の声が」
私と言い直すのも忘れて、俺はただ嬉しさを伝えたくて、
「ちゃんと聞こえていましたよ」
仮面を外した巫女様が優しく微笑んで、頷いた。
「村に帰ったらもっとたくさん呼び子を直します!」
「きっと山の風も喜びます!」
巫女様が少し話をしてくれた。自分たちの村にいるいくつかの風のこと、今来てくれた親分のような山の風のこと。風たちは自分たち人間が作る風道具をちゃんと知っていること。巫女様が話している間、銀粉紙を包んでふわふわと彼女の上で遊んでいる季節風のこと。
「さて、今度は帽子を被らねばなりません」
巫女様はそう言って、もう一度装具の紐を頭の後ろで結んで目元を隠した。屈んで星霜鳥の羽飾りの付いた帽子を手に取る。
「そっか、まだ竜の風は来ていないんですね」
「そうなんです。……あら」
少女の頭に竜の金飾りが乗る。自分も慌てて立ち上がった。
「な、なんでしょう」
「この若い季節風が、銀粉紙を使って竜の風をモクさんにも見えるようにしてくれるって言っています」
「そりゃ……楽しみです!」
「でもちょっと銀粉紙が足りないかも、それに竜の風は怖いかもって。ふふ。それでは私の風で先導しましょう」
竜風域の巫女が両手を空に掲げた。それに呼応するように季節風が銀の渦を一周分だけ描くと、真っすぐに上へと昇って留まった。風を受けた観覧車がまたゆっくりと舞台の向きを変えていく。巫女様が東の空を静かに見つめる。
(……?)
ふと懐かしい匂いがした。今日のことだ、微かに花のような甘い香り。その優し気な印象を崩さぬまま、観覧車の上全体にゆっくりと渦を作り立ち上がるように何かが、巫女様の風が満ちた。竜の風を迎えるために。
――この日、モクは竜風域の巫女と会った。そして、竜の風と会った。その風の向こうには竜がいるのだと、村に帰った彼は嬉しそうに話したという。重力鉱石『ゼロライト』の異変が世界地形を根底から変える以前、古来より風と共に在った『竜風域の民』の祖先たちが住まう村にて。
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