第36話 セニョー・Kとダルドールズ3

「ピャー!あっくる玉に守られてたの?」

「そこそこ強い訳だわ、プース」

「四人のダルドールズと互角以上に戦えたのはあっくる玉のおかげであっただるか」

「う、う……」

グウマは実力だと言いたかったが、あっくる玉のチカラも否定出来ないのでまた黙る。

「ねえ、ウリちゃん、そのあっくる玉、どこで手に入れたのー?」

「ユ、ユラオラ……」

グウマはそうつぶやきながら、あっくる玉を大事そうにフトコロに撫でる。

「これは特別にワタイが授かったもんどい」

「だからそれはどこから?」

ダルドールズは食い下がる。

「それを聞いてどうするんどい」

グウマは簡単にしゃべりたくなかった。

「ま、言いたくなければ、カマンベールだるよ」

「あっくる玉に守られてユーはラッキーだーる」

「く……」

何度も言われてイライラしてくる。

“マグレッター”

「ドコ、ドコ、ジャーン!」

郵便ポストみたいな邪運化が気がついた。

「ワップス」

セニョー・Kとダルドールズは思わずその場に伏せて、気配を消そうとする。

“たたたた”

「……」

「行っただるか」

「何しとるんどい」

「ユーはさっき、何をした?」

「はあ?何どい」

セニョー・kは腕組みをして眉間にシワをよせた。

そしてマラカスをクルクル回しながらいら立つように言った。

「ユーがさっき襲ったのは《邪迷化(じゃめいか)》だる!」

「ジャマイカ?」

「ジャマイカじゃなくて邪迷化よ!ウリちゃん」

「邪運化とは別のピックなのよん!」

ダルドールズは矢継ぎ早に攻めてくる。

「邪迷化はね、頭に《マグレッター》を持っているの」                                                                                        「そういえば、頭に磁石のようなもんを付けとったな」

グウマは想いだす。

「それがどうしたんどい」

「邪迷化が探しているのは《邪っ子》といって凶悪な邪運化なのよん」

「邪っ子……」

「どうやら、ユーも邪っ子を知ってるだるな」

「ピー達はずっと邪運化をそっと追っかけてたのよん」

「パオ!そうすれば邪っ子に会えるじゃない?」

「見つけてどうするんどい」

「ポース、邪っ子を退治すれば他の邪運化もおとなしくなるのーよん!」

「これって、とってもパンピーよ!」

「ピー達は考えてるの。

ウリちゃんとはココが違うのよ!」

ドールズが自分の頭を指して笑った。

「ウリちゃん、もっとこの世界を勉強した方がいいわねー

同じワタ我士なら……」

「ピピピピ……」

ダルドールズは笑う。

「うぬぬぬぬ……」

グウマはイライラを押さえられない。

「ワオップ!強い《念》が見えるだーる」

「パーオ!すごい、すごい」

ダルドールズが顔を近づけた。

「よ、よせ、ワタイは見せ物じゃなかどい!」

「ユーのおかげでロスキーしてしまっただる!」

ダルドールズは揃って親指を下に向けてグウマにダメ出しのサイン。

セニョー・Kはマラカスを腰に納め、マントを払った。

“バッ”

“フユー”

空に向けて合図をした。

再びグウマに振り向き、腰に手をあて、人差し指をたてて、それをグウマの前でチッチッチと降る。

「シッチャカ!」

「亜空界をもっと学習して、冷静に行動するだーる!」

「ポース!ポース!!」

ドールズが声をそろえる。

「次に会う時までに知識と実力をつけておくだーる」

「サラバダール!」

“しゅばっ”

一斉に飛び上がる。

セニョー・Kとダルドールズは翼のついた大きな馬、《亜馬天馬(あばてんば)》に乗って亜空の空に舞い上がった。

「ヒヒーン!」

グウマはただ呆然と見る。

「何どい、アイツら……

だるだるピーピー、おかしな言葉使いおって……

うるさいヤツラ……」

ぶつぶつとつぶやく。

亜馬天馬は亜空の空に、やがて小さく、かなり小さくなって消えた。

「ふうー」

ため息が出た。

グウマは少しうらやましくもあった。

「ワタイも仲間がおったらなあ……」

空の雲はウロコ雲からヒツジ雲に変わっていた。

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