第32話 戦士ウリ・グウマ1

ーーーあの時、あの場所の亜空界

岩の台地

ここからはボンバカブの土手が見える。

「ボンバボンバ」

ボンバ邪運化が収穫したボンバカブを一輪車に積み込んでいる。

ピューと岩をなでる亜空の風。

“ずい、ずい、ずい”

近づいてくる足音がぴたっと止まった。

それに気付くボンバ邪運化。

「あー、誰だ?ボンバ」

その人物の上半身には渦状のモヤがかかっていてよく見えない」

「ワタイを忘れたか」

「おう、オマエはさっきのウリ坊主じゃないかボンバ。

またやられに来たのか?

身体がモヤで良く見えないボンバ」

「数年ぶりに亜空界に戻って、また同じこの邪運化の元に返してくれるとはカサブタめ、味な計らいをするどいな」

“すたっ!”

モヤの中から人物の腕と構えたハエたたきだけが見えた。

「むっ!不運消滅!」

「おっ、かっこつけちゃってボンバッハ」

ボンバ邪運化は再び悪さできる相手を見つけて嬉しそうに立ち上がった。

「ちょうど良かった、新型爆弾を試そうと思ってたボンバ」

といいながらいきなり腰から機関砲を突き出した。

「名付けてメガボンバ爆弾!ボンバー」

それは無数の爆弾がマシンガン状に飛び出して来るもの。

こんなものを浴びたらひとたまりもない。

「いくボンバ!」

“ドガガガガガガ……!!!”

ボンバ邪運化はようしゃなくメガボンバ爆弾を発射する。

“スタン、スタン、スタン……!”

「あららら、ハエたたきで全部払い落としやがったボンバ」

「ハエたたきでのうて、タタッ剣どい」

払いのけた無数の不発のメガボンバ爆弾を足下に集める。

「今までの恨みどい!受け取れ!」

人物はタタッ剣を器用に操作して、メガボンバ爆弾を空中にあげる。

“ぽん、ぽん、ぽん……”

空中でまとめてビッグメガボンバ爆弾にしてボンバ邪運化に突き返した。

“ばしゅっ!”

「ああ、なんだあ!ボンバ」

一瞬の技で、不意をつかれたボンバ邪運化の口の中にみごとに収まった。

口いっぱいに爆弾を含んで慌てるボンバ邪運化。

「うがが、ウ、ウリ坊主が……」

“ドッガアアアアアアアン!!!”

ボンバ邪運化はひとたまりもなく吹き飛んでしまった。

「もうウリ坊主じゃないどい」

爆風で人物にかかっていたモヤも吹き飛んだ。

その姿は山で侍の時代、山で修行する山伏のようだった。

しかし、山伏の装束をまとっているのは間違いなくクマさんだった。

あの、戦国の現空界からまた亜空界に戻って来たのだった。

カサブタによってボンバ邪運化に吹き飛ばれた場面に。

「あんなチンケなものにもて遊ばれとったどいかワタイは……」

冷静にタタッ剣の汚れを拭き取る。

「懐かしいどい」

クマさんは振り返る。

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