第22話 ボンバ邪運化2
「ボンバボンバ!」
「お、オマイはワタイの運を狂わせた邪運化じゃなかか!」
「あん?おまえはオレがわかるんか!
勝手にオレの土手にはいってくるなボンバ!」
ボンバ邪運化は昔からここでボンバカブを栽培していた。
「ぐぐぐ、ワタイの“念”がオマイを呼んでしまったどいな」
クマさんは手を振り上げたがスベスベなのでイマイチ迫力がなかった。
「ボンバー」
「な、何どい、笑うな!」
「顔がウリみたいにのっぺらのくせに ずいぶん“念の気”が強い野郎ボンバ」
「オマイがワタイのトンネルを爆発させたな!」
「あん?トンネル爆発?ボンバ?」
「そのボンバ爆弾でワタイの《運》を変えたろーが!」
「知らんな オレは昔からずいぶん悪さしとるから、いちいち覚えてられるかボンバ」
「ドンタコ!
オマイが昔、現空界で霜霧山のトンネルを爆発したんやろうが!」
「知らんボンバー!」
「あれからワタイの人生が狂ったんどい!」
「ボンバッハ?そらよかったなボンバ」
「おかげでワタイはどこにいっても疫病神あつかいどい!」
「ボンバ、ボンバ、おもしろボンバ」
「仕返しどい!」
「そうか、そうか、そうか 仲直りだボンバ」
“ぽいっ”
ボンバ邪運化はソフトボール大のボンバカブを放り投げた。
こういうときは、つい手で受け取ってしまいがち。
“がしっ!”
クマさんが受け取ったのは爆弾カブ。
“しゅるるる”
“どっかーーーん!”
爆発してクマさんは全身がこげこげになる。
「ボンバボンバボンバッハ……」
ボンバ邪運化は大笑い。悪さを楽しむのが悪さ生物の特徴である。
“スススススス……”
「んなー!邪運化め なめおって・・・
クマさんも反撃する。“びしっ!びしっ!”
持っていたハエたたきで叩く。
しかし、邪運化には何の効果もない。
ボンバ邪運化は体をさすりながら、
「ウリ坊主が、無理してるなあボンバ。
あー、かゆいかゆい、ボンバ」
ボンバ邪運化はバレーボール大のボンバカブをクマさんに浴びせる。
“どががーーーーーーん!”
木の葉のように吹き飛ぶクマさん。
“スススススススス……”
「へへへ、ボンバボンバ」
木にぶつかった衝撃で背負っていた風呂敷がほどける。
それはこの世界に来た時、出会った不細工な3人組の男達がくれたものだった。
『困った時はこれを……』
男達の言葉を思い出すクマさん。
“どどどど……”
邪運化はさらにたくさんのボンバカブを持ってやってきた。
慌てて風呂敷を広げるとそこには黒い芋ケンピのような物と駒のようなものがはいっているだけだった。
「ボンバボンバ」
そこまで邪運化は来ている。
「どうやって使うんどい!」
すり鉢の底に取扱説明書と書いた紙があった。
「取り扱い説明書だとー?!
読めるか!こんな時に!!」
“ゴロゴロゴロゴロ……”
クマさんの足下にたくさんの爆弾が……
“ドッグゥアアアアアアン……!!!”
クマさんは凄まじい衝撃とともに吹き飛ぶ。
空高く吹き飛びながら、クマさんの首筋あたりで何か渦巻く気配があった。
飛び上がったら今度は落ちるしかない。
“ザッバアアアアン!”
落ちたのが亜空の川。
“あっぷあっぷあっぷ!”
だいぶ水を飲んだ。
苦しくて無我夢中で手を伸ばす。
溺れる者はワラをも掴む。
もがくクマさんがつかんだのがブタのシッポだった。
「ブヒーッ」
ブタが悲鳴を上げる。
それはしょっちゅうクマさんのまわりに現れるカサブタだった。
溺れるクマさんはワラ……ではなく、カサブタをも掴む。
クマさんにおしりのヘタのシッポを掴まれたカサブタは慌てふためき、亜空のフタを開けてしまった。
“ぱかっ”
クマさんはカサブタと共にフタの中に引き込まれて行った。
“すううううううううううううううう……!!!”
時空の管の中でグニャグニャに混ぜくり回される。
「なんどい!
どうなっとる! 目が回るどー!」
“バチバチバチバチ……!”
時空ノイズが発生して意識が所々薄れる。
“ぱかっ”
必死に意識を保ちながら見ていると、向こうの世界の出口が見えた。
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