第34話 セニョー・Kとダルドールズ1

ーーー亜空界

ボンバ邪運化を倒したグウマは雄叫びを上げた。

「おおし!修行どい!」

グウマは気の向くまま、この自由な世界を探検する。

しかし、まだ亜空の世界がわからず、やみくもに飛び回っているだけだった。

大地に大きくくぼんだ谷。原生林と奇妙な生物。

亜空界の気候は気まぐれだ。

夏と冬、快晴と嵐が入り交じっていた。

空にはウロコのような雲が規則よく流れている。

戦士となったグウマは以前とは大きく変わった。

おでこに大きな茎、そこから葉っぱのついたツル。

天狗侍からもらった胴衣とタタッ剣を持っている。

邪運化を見つけては背後から近づき、成敗する。

戦術も巧みになっていた。

「腹がへったどい」

行き当たりばったりで食事をする。

グウマのサバイバルは続いていた。

時々、現空界が恋しくなる。

「またあの家に帰れたらなあ」

ふと見ると岩山のその先に影が見える。

そおっと後ろから近づいてみる。

その影はたしかにフタのようなものを開けて出てきた。

「邪運化め、悪さする相手を捜しておるとか」

赤い体でずんぐりしていて、口が大きく、短い手足がついている。

頭から磁石のようなものを出していて、ウロウロしている。

「ドコ、ドコ、ジャーン!ドコ、ドコ、ジャーン!」と叫びながら。

「あいつはいつか邪卵房から出てきたやつじゃなかか」

この邪運化は今までとは様子がおかしい。

穏やかな雰囲気。

何かを探しているようだった。

「おいこら!邪運化!」

かまわずグウマは岩上から叫んだ。

邪運化は振り返って

「ドコ、ドコ、ジャーン!?」

その邪運化はあまり攻撃性はなかった。

「どこって、ワタイはここじゃ!」

「ドコ、ドコ、ジャーン!、ドコ、ドコ、ジャーン!」

「オマイはいつか見た郵便ポスト邪運化じゃなかか。

こら待てい!逃がさんどい!」

グウマがユラオラと初めて亜空界に来た時、素雷土で見た邪運化だった。

血気にはやるグウマは自分のチカラを試したかった。

「どんたこ!」

グウマは手製の武器、タタッ剣を構えて飛び上がった。

郵便ポスト邪運化に叩き付ける。

“ベッチャーーン“

あっけなく決着がつく。


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