第17話 集団お見合い大会

“ヒュー,パン!パン!”

派手な花火の音。

記憶が次の場面に切り替わる。

トンネル貫通式が始まった。

会場には政府と各業界の代表者や幹部関係者がずらりと並んでいる。

英雄のクマさんは会場のスミにちょこんと座っている。

職人のクマさんはそれでも満足だった。

“パンパカパーン”

記念の祝典の余興が行われる。

『じっじん、何がはじまるの?』

『そうじゃった。

あの後、会社の主催する集団お見合い大会があったんどい』

英雄のクマさんも工事現場を渡り歩く生活で、女性に縁がない。

『ワタイもこの余興に参加したんどい』

お見合いの日が来た。

現場の作業所内の集会所の入り口には《トンネル男の嫁取り大会》の横断幕があった。

“どん!どどーんぱんぱん!”

花火で盛り上げる。

「さあ、女性に縁のない労働者、チャンスですよー!」

司会者は歩平だった。

歩平が派手な行事の装束で開催を宣言する。

集会所の右には女性が座り、左には職人達が向き合って座る。

『あ、じっじんもあそこにいる!』

なれないスーツにネクタイをしたクマさんが窮屈そうに座っていた。

大勢の女性を目の前に照れるクマさん。

『婚活パーティーだね』

“ピーッ”

笛の合図で参加者は一斉に女性のもとに走る。



“どどどどど……”

そして、目をつけた女性を捕まえる。

『会話も無しなの?』

『運動会みたいだね』

『そうどい、トンネル男の集団お見合いは腕ずくどい!』

クマさんは向かって右の三番目のピンクのスカーフの女性がお気に入りだった。

『そう、そう、あの子だったんどい。

ワタイが本当に声をかけたかったのは……』

お目当ての女性にまっすぐ突進するクマさん。

もう少しでスカーフの女性に手がかかるというその時。

“ウウウウウウウウウ〜〜〜!!!”

緊急警報のサイレンが鳴った。

『何の音?』

『そうどい!想いだしたどい。

あのサイレンがワタイの運命を変えたんどい!』

“ドーン!”

“ドーン!”

“ドーン!”

クマさんの開けたトンネルの影響で山の方々に爆発が起きてしまった。

“ドカーーン!”

お見合い会場の近くも爆発して、大きな石が山から転がって落ちて来た。

建物を直撃した。

“バキバキバリン!”

石は突き抜け、床まで貫いた。

“ズゴゴゴーーーン!”

『ああああ、じっじんが!』

集会所は陥没し、クマさんらは地下深くまで落ちてしまう。

『じっじーん!!!』

『そうか、ワタイは落ちたんやった』

半透明のユラオラとクマさんが見つめる中、どうなる夢の中のクマさん。


                                                                                            

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